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生成AI利活用、国大協会長コメント…大学にルール化を推奨

 国立大学協会は2023年5月29日、生成AIの利活用について会長コメントを公表した。国立大学でも適切な形で生成AIの効果的な利活用が進むことが基本的に望ましいとしたうえで、現時点の考え方として、教育や研究の分野で特に留意すべき事項を示している。

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  • 「生成AIの利活用に関する国立大学協会会長コメント」の公表について

 国立大学協会は2023年5月29日、生成AIの利活用について会長コメントを公表した。国立大学でも適切な形で生成AIの効果的な利活用が進むことが基本的に望ましいとしたうえで、現時点の考え方として、教育や研究の分野で特に留意すべき事項を示している。

 ChatGPT等の普及が加速する中、生成AIの利活用について、国立大学協会の永田恭介会長コメントとして見解を公表した。

 国立大学が行う教育活動では、「生成AIの利用を一律に禁止することは求めない」と明記。そのうえで、レポートや論文、課題等での学生の安易な生成AI利用により、企図した教育効果が得られない等の懸念を踏まえ、各大学にはそれぞれの判断に基づき一定の方針を定め、明確なルール化を図ることを推奨する。

 また、現状の生成AIに関する信頼性や透明性、プライバシー保護、著作権に関する課題等、正しい知識や使用上の注意について、学生に十分に理解させる責任が大学に生じることにも留意が必要とした。

 一方、生成AIに関わるさまざまな研究分野の展開については、「大学に新しい可能性を開くことが予想される」と期待を込めた。ただし、生成AIの現状として、既存データにない新たな知見に関する分析や記述ができないことや、データ正誤の判断ができないこと、「ねつ造」「改ざん」「盗用」という研究不正へのリスクにも留意が必要と指摘。各大学は、研究不正を生じない生成AIの利用に向けて注意喚起等に努めることが必要との考えを示した。

 最後は、生成AIの利活用に関して、積極的に推進する立場と懸念を示す立場が同じ学内で相対して存在する事態も生じうるとし、「2つの立場の両立を図りつつ、いかにして新しい科学技術を自分のものとして、国立大学の使命を達成していくか、真摯に検討されることを望む」と結んでいる。

《奥山直美》

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