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教員免許更新制廃止後の研修制度、指針案を公表

 文部科学省は2022年6月27日、教員免許更新制の廃止にともない、新たに実施する研修制度に関して指針改正案やガイドライン案を公表した。研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言等について基本的な考え方を明記。研修受講に課題のある教師への対応等も示している。

教育行政 文部科学省
公立の小学校等の校長および教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正案のポイント
  • 公立の小学校等の校長および教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正案のポイント
  • 公立の小学校等の校長および教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正案のポイント
  • 研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン案のポイント
  • 研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン案のポイント
 文部科学省は2022年6月27日、教員免許更新制の廃止にともない、新たに実施する研修制度に関して指針改正案やガイドライン案を公表した。研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言等について基本的な考え方を明記。研修受講に課題のある教師への対応等も示している。

 6月27日に開催した中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第7回)・基本問題小委員会(第7回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第130回)の合同会議において、「公立の小学校等の校長および教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針(改正案)」「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン(仮称)案」等を公表した。

 指針改正案では、教師に共通的に求められる資質能力を「教職に必要な素養」「学習指導」「生徒指導」「特別な配慮や支援を必要とする子供への対応」「ICTや情報・教育データの利活用」の5つの柱で再整理。新たな教師の学びを実現していくための仕組みとして、研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言等について、基本的な考え方を明記している。

 研修の性質に応じて、研修後の成果確認方法を明確化すること、特にオンデマンド型については知識・技能の習得状況を確認するテストも含め、研修企画段階から成果の確認方法を設定することを新たに規定。教科指導については、指導主事による定期的な授業観察・指導助言に関し、オンラインの活用も考慮した効果的・効率的な実施体制を整備することを示している。

 ガイドライン案は、5月に改正教育職員免許法が成立し、7月1日から教員免許更新制が解消され、2023年4月1日から教育委員会による教師の研修履歴の記録の作成と研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言等の仕組みが施行されることを受け、具体的な内容や手続き等の運用について定めるもの。ガイドラインでは、広く教師の資質向上のための取組みを「研修等」、資質向上のための取組みの記録を「研修履歴」と表記している。

 ガイドライン案の基本的考え方では、研修履歴を活用して対話に基づく受講奨励を行うことで「教師が今後どの分野の学びを深めるべきか」「学校で果たすべき役割に応じてどのような学びが必要か」等について、学校管理職による効果的な指導助言等が可能になるとしている。

 任命権者が策定する教員研修計画に定める事項には、対象となる教師の範囲、研修履歴の記録の目的・範囲・内容・方法・時期・閲覧・提供、対話に基づく受講奨励の方法・時期、学校内で行う研修履歴の記録と学校管理職以外の教師による対話に基づく受講奨励を位置付けている。

 研修受講に課題のある教師への対応については、「期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合等、やむを得ない場合には職務命令を通じて研修を受講させる必要もあると考えられる」と明記。学校管理職等と教師との対話の中で十分な相互理解が図られない結果、学校管理職等から研修受講命令を出すことも想定している。

 また、「指導に課題のある」教員に対する研修等については、研修履歴を記録する仕組みと対話に基づく受講奨励のプロセスを通じて、対処をさらに早期かつ効果的に行うことが可能になると期待。指標を踏まえて、さらに伸ばすべき分野・領域、改善すべき分野・領域について、自己評価および学校管理職等による評価を踏まえた研修計画書を作成し、研修受講につなげることが考えられるとしている。

《奥山直美》

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