2022年5月11日、参院本会議で「教員免許更新制度の廃止」を含む改正法が可決、成立した。教員免許には10年間の有効期限があり、教員は10年ごとに講習を受け更新手続きをしなければならないという現行制度が、7月から廃止となる。これに伴い、7月からは過去に更新されずに失効してしまった教員免許も復活する見通し。文部科学省の調査によると、2021年5月時点で全国で2,056人の教員が不足しており、今回の改正により教員経験のない“ペーパーティーチャー”が教壇に立ちやすくなることで、教員不足の解消につながるともいわれている。
日本トレンドリサーチは、全国の男女計600人(20代以下~70代以上・各年代男女各50人)を対象に「教員免許の更新制度に関するアンケート」を実施。調査期間は2022年5月18日~24日。回答者のうち、「現役の教員」は4.2%、「現役の教員ではないが教員免許を保有している」は15.8%、「保有していない」は80.0%だった。
7月から教員免許の更新制度が廃止されることについてどのように感じるかを教員免許の有無別に集計したところ、現役教員は「賛成」88.0%、「どちらかというと賛成」8.0%、計96.0%が「賛成」の意向を示し、「反対」と回答した人は1人もいなかった。現役の教員ではないが保有している人も、「賛成」45.3%、「どちらかというと賛成」20.0%と「賛成」意見が半数を占めた。一方、教員免許を保有していない人は「どちらかというと反対」がもっとも多く33.8%、ついで「反対」23.8%。計57.6%と、半数以上が「教員免許更新制度の廃止」に反対とした。
回答理由をみると、制度の廃止によって「手続きの時間や費用等の負担が減る」「今は教員として働いていない人が復職しやすい」等、教員として働く人にメリットがある一方、子供を持つ親の立場から「教員の質が下がりそう」「問題を起こした先生が簡単に復帰できそう」「ブランクがある人が教師として指導できるのか」といった不安の声があげられた。
公立学校における教員不足を解消するために必要だと思う対策について自由回答で聞いたところ、「給与を上げる。小学校の先生の負担が大きすぎるので、教科担任制を導入する(40代女性「現役の教員ではないが保有している」)」「快適な勤務環境の確保。教えることがどんどん増えるが減りはしないので、増える教科に関しては別教員を雇ってほしい。当然評価も分業となってほしい(50代男性「現役教員」)」「クラブ活動の顧問を廃止し、授業だけにした方がいい。土日に試合等で出勤していたら体がもたない(50代男性「保有していない」)」「親からのクレームに対応する職種を設ける(50代女性「保有していない」)」「副業禁止の解除(20代女性「保有していない」)」「パワーハラスメントや教員同士のいじめ等を強く取り締まることで、働きやすさが増し、教員希望者が増えるのでは(20代女性「保有していない」)」等、現状の教員を取り巻く労働環境の厳しさを再認識させられるようなさまざまな意見が寄せられた。
アンケートの詳細は、NEXERが運営するWebサイト「日本トレンドリサーチ」にて公開されている。