小学校のテストにおいて、正誤について問題が生じる可能性があるのが「漢字テスト」です。算数や理科等の場合は、答えが1つであることが多いです。漢字の場合、「とめ」や「はね」をどのように扱うのかによって、正誤に少し曖昧さが生じてきます。担任の漢字指導が厳しく、学校に行きたがらなくなるということもあります。今回は、そういったことと関連し「漢字指導」をテーマとしたいと思います。
漢字指導とは
「漢字指導」に関しては、文化庁による「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」によると次のとおりです。
「骨組みが過不足なく読み取れ、その文字であると判別できれば、誤りとはしません」
また、文科省による「小学校学習指導要領」(平成29年)では、次のようになっています。
「漢字の指導においては、学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とすること」
「正しい字体であることを前提としたうえで、柔軟に評価することが望ましい」
「指導の場面や状況に応じて一定の字形を元に学習や評価が行われる場合もある」
「『児童生徒が書いた漢字の評価については、指導した字形以外の字形であっても、指導の場面や状況を踏まえつつ、柔軟に評価すること』とされています」
「特に、小学校段階では、日常生活や学習活動に生かすことのできる書写の能力を育成するため、文字を一点一画、丁寧に書く指導なども行われており、指導の場面や状況に応じて、指導した字形に沿った評価が行われる場合もあることを十分に踏まえる必要があります」
簡単にまとめると「漢字を正しく書くことは大事だけれども、細かい部分については柔軟に対応する」という感じです。
こういった状況において、子供が学校に行きたがらないほど、厳しい漢字指導をすることはやり過ぎだと考えるのが一般的でしょう。先ほど触れたように漢字指導のやり方については現場に任されている面があります。そういった状況において、しっかりとした漢字指導をしたいと考える教員がいることは問題ありません。ただそのことが原因となって、登校しぶり等につながるようであれば、話は別になってくるのだと思います。
他にも問題がないか
さらにこのケースにおいては、問題が「漢字指導」だけなのかということも考える必要があるのかもしれません。子供が学校に行きたくない理由として、「漢字指導」をあげているのですが、本当の理由はそことはまた別にあるということも考えられます。漢字以外の学習指導や普段の生活指導等に不適切な部分があるのではないかということです。海に流れている氷山ではありませんが、見えている部分(漢字指導が嫌)の背景にはもっと大きなものがあるということも考えられます。今回のようなクレーム(漢字指導が厳しくて学校に行きたいくない)があった際には、学習指導や生活指導等の子供との関わりにおいて何かの問題点はないかということを再チェックする良い機会だと思います。
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