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【相談対応Q&A】GIGA端末の使い方をしっかり教えてほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第230回のテーマは「GIGA端末の使い方をしっかり教えてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第230回のテーマは「GIGA端末の使い方をしっかり教えてほしい」。

GIGA端末との付き合い方

 GIGA端末は、今の子供の学びにおいて、とても重要なものです。個別最適な学びを実現するためには、GIGA端末を含め、さまざまなICTツールを上手に付き合っていくことが求められます。ただそういった中で問題も発生しています。GIGA端末などの使い方に関することです。不適切な使い方などをしてしまうことと関連して、GIGA端末の使用を全面的に否定するような考えの人もいます。私はこの件に関して、色々なものと折り合いを付けながら、ベストでなくとも、ベターなものを探していくことが大事だと考えています。

 今の子供は、学びにおいても、将来就く仕事においても、さまざまなICT機器を使っていくことになります。プライベートにおいても、そういった機器の無い生活はあり得ないでしょう。そういったことを踏まえると、「適切な使い方を知る」ということの重要性が以前よりも増しています。

 タブレット/PC/スマホは、学びにおいても、仕事においても、非常に有用なツールです。ただ使い方を誤るとさまざまな悪影響を及ぼすものでもあります。自分自身に関することでは、スマホやゲームに多くの時間が取られてしまい、他のことに取り組む時間が減ってしまいます。さらに、そういったことが、視力の低下や身体活動量の低下などにも繋がります。スマホなどに触れることが低年齢化していることで、子供の脳を含めた発達にも影響があるのではとされています。他の人との関わりについてでは、SNSによるいじめなどがあります。大人から見えにくいところで、そういったことが行われます。従来のいじめも大人からは見えにくいものでしたが、SNSなどによるいじめはさらに見えにくいものとなっています。

GIGA端末利用の第1歩は「GIGA開き」

 ところで、小学校1年生は、学び方を学ぶ学年だとされています。従来であれば、鉛筆の持ち方、ノートの書き方などがそういったものにあたります。今の時代、GIGA端末を含めたICT機器との関わり方は、鉛筆の使い方と同じように重要なことなのだと思います。そういったことを踏まえると、1年生の始めの段階で、子供にどのようにGIGA端末と触れさせるのかということがとても大事になってきます。それらは「GIGA開き」「GIGA授業開き」などと呼ばれているものです。適切な指導をすることなしに、子供にGIGA端末を触らせていった場合、さまざまなトラブルが発生することが予想できます。始めの段階で、「GIGA端末で学ぶことの意味・意義」「守らなければならないこと」などに触れていくことで、子供とGIGA端末の適切な関わりができるようになります。これは家庭でのスマホの使い方などと同様です。使い方のルールなどを決めること無しに子供にスマホを持たせたらどのようになるのかは想像ができるでしょう。

 学習指導要領の改訂に関して、小学校の総合に情報に関する新たな領域を作るという報道がありました。やることが増えていくかもしれないという不安はありますが、私はこの新しい学びに期待をしています。今の時代に合った良い学びの機会になればと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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