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京都大学と内田洋行、教育AIの開発・実証研究を本格化

 京都大学学術情報メディアセンターと内田洋行教育総合研究所は2020年11月、教育AIの開発・実証研究を本格的に開始する。教育用AIエンジンを構築するとともに、京都市教育委員会の指定した実証校と連携し、ラーニングアナリティクスの学校現場への導入に取り組む。

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教育用説明生成AIエンジン「EXAIT」(イメージ)
  • 教育用説明生成AIエンジン「EXAIT」(イメージ)
  • 教育用説明生成AIエンジン「EXAIT」によるデータに基づく教育改善(イメージ)
  • 教育用説明生成AIエンジン「EXAIT」によるデータに基づく教育改善(イメージ)
 京都大学学術情報メディアセンターと内田洋行教育総合研究所は2020年11月、教育AIの開発・実証研究を本格的に開始する。教育用AIエンジンを構築するとともに、京都市教育委員会の指定した実証校と連携し、ラーニングアナリティクスの学校現場への導入に取り組む。

 学校教育現場では、GIGAスクール構想で1人1台端末整備が加速し、テストなどをコンピューターで実施するCBTが行われるなど、データを生かすためのAI活用の研究が始まっている。ただ、AIが解析したデータに学習者が納得できなければ、主体的な意欲を引き出せないという課題があった。

 京都大学学術情報メディアセンターの緒方広明教授と内田洋行は、単に問題が自動的に提示されるだけでなく、学習者がより納得して課題に取り組め、先生が児童生徒のつまずきを把握して適切な指導を行えるよう、より学習・指導に有効な分析データを導き出す「説明できるAI」を開発し、京都市教育委員会と連携して実証研究を行うとする5か年計画を作成。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」に採択され、9月に委託契約を締結した。

 事業の実証研究では、京都大学学術情報メディアセンターの緒方教授らが独自に開発したデジタル教材配信システム(e-Bookリーダー)のBookRollと分析ツールLA Viewで構成するラーニングアナリティクスシステム「LEAFシステム」を基盤として、学習行動から説明生成を行うAIエンジン「EXAIT」 (Educational Explainable AI Tools) を開発して搭載する。

 AIエンジン「EXAIT」は、学習行動について「モデル駆動」と「データ駆動」の両面から開発を進める。「モデル駆動」では、教材や知識マップをもとに学習者が解答プロセスについて自己説明を行うことで、次に学ぶべき事項や解くべき問題を理由とともに推薦する。「データ駆動」では、推薦やダッシュボードの学習ログを蓄積し、学習ログからボトムアップに説明を生成。「データ駆動」と「モデル駆動」を融合することで、児童生徒の学習プロセスを理解して説明を生成し、学ぶべき事項を推薦するAIを開発する。

 システムの効果測定は、京都市教育委員会と連携して学校現場で実証研究を実施。内田洋行が学校現場で学習者が利用しやすいシステム構築と学習データの管理・抽出を行い、京都大学学術情報メディアセンターと共同でデータに基づく学習効果を検証していく。実証研究は、2020年度内に京都市内の学校で開始予定。
《奥山直美》

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