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学びを止めない「オンライン授業」小中高大の取組み事例<動画>

 新型コロナウイルス感染症拡大による休校やGIGAスクール構想により、学校のICT環境整備が進み、オンライン授業が普及しつつある。休校期間中、各校はどのようにオンライン授業を行っていたのだろうか。iTeachers TVで紹介された事例をもとに学校種別に見ていこう。

事例 ICT活用
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 新型コロナウイルス感染症拡大による休校やGIGAスクール構想により、学校のICT環境整備が進み、オンライン授業が普及しつつある。休校期間中、各校はどのようにオンライン授業を行っていたのだろうか。iTeachers TVで紹介された事例をもとに学校種別に見ていこう。

 iTeachers TVは、教育ICTを通じて「新しい学び」を提案する教育者チーム「iTeachers」による教育ICT情報番組。先生や生徒、教育関係者をゲストに招き、ICTを活用した「新しい学び」の実践や取組みをプレゼンテーション形式で紹介している。

小学校



宝仙学園小学校



 宝仙学園小学校は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校を受けて、「Hosen学びを止めないプロジェクト」を立ち上げた。全教職員でZoomの研究を行った後、2020年4月15日にオンライン学校をスタート。全学年・全教科・全教職員で双方向のオンライン授業を行った。オンラインによる前校朝礼やホームルーム、ジム(体育)、合奏(音楽)、図工など、学校としての機能をオンラインで実施。宝仙学園小学校のオンライン学校は、教職員だけでなく、子どもたちと保護者のすべての協力で進めてきた。このようなオンライン学校を実現できたのも、ICT教育機器を積極的に導入し、児童の情報リテラシーや情報モラルなどの教育も行ってきたからだという。

 オンラインという手法が取り入れられたことにより、在宅環境でしかできないこと、在宅環境だからこそ効果が発揮できる学習があることに気付いた。オンラインで培ったノウハウやマインドは、子どもたちの学びの促進、情報伝達、広報や授業参観などで生かされている。宝仙学園小学校のICT教育について、これまでの軌跡や理念、ノウハウ、これからのビジョンといったものを外部の人にも広く伝えるため、情報公開Webサイト「HOSEN ICT STYLE」を立ち上げた。情報を公開することで、さらにリソースを広げ、同校が掲げる「学校のハブ化」を推進していく。


中高一貫校



広尾学園中学校・高等学校



 広尾学園は、ZoomとGoogle Meetを使ってオンライン授業を行っていた。新入生が授業を受けやすくするために、有志の生徒たちがオンライン授業案内サイトを立ち上げ、サポートしてくれた。そしてさらにその有志生徒たちは、サポートサイトに「先生方へ」というタイトルで、先生方のオンライン授業への疑問点を解決するページを追加した。これは、先生たちが戸惑ったりわからなかったりすることについて「生徒が先生をサポートする」ページとなっている。生徒と教職員がお互いフラットな条件で知恵を出し合って、困難な局面を乗り越えた。



ドルトン東京学園中等部・高等部



 ドルトン東京学園は、オンライン授業はZoom、学校と保護者との連絡は「安心でんしょばと」という情報発信ツール、生徒間や生徒と教員間のコミュニケーションはMicrosoft Teams、授業のノウハウ共有や連絡調整、会議録はSlack、校務運営はTrelloといったように、さまざまなツールを使ってオンライン学習に対応していった。オンライン授業を行うことによって今までになかったコミュニケーションができるようになった。オンライン学習のメリットや限界を踏まえ、同学園はリアルな学びとオンラインの学びを融合した「ブレンディッド・ラーニング」を考えているという。



千葉明徳中学校・高等学校



 千葉明徳は、2016年に学内にICT推進委員会を立ち上げ、2017年度から中学生全体と高校1年生にiPadを導入し、2019年度に全校1人1台のiPad環境を整備した。また、すべての教室にWi-Fiやアクセスポイント、プロジェクターの設置なども完了している。このようにICT環境が整っていたため、新型コロナウイルス感染拡大による休校時にオンライン授業が実現できた。同校の梅澤俊秀副校長は「これからGIGAスクール構想によりICT環境整備に取り組む学校は、『目的』を明確にして始めたほうが良い」とアドバイスしている。

 最初のiPad導入から3年経った現在も「教師主導から生徒主体のICT活用への変化」「ICTを使った主体的な学びを獲得する授業実践への取組み」といったICT活用による授業改革が続いている。千葉明徳では、新型コロナウイルスによる休校措置で約3か月にわたってオンライン授業を実施してきた。教師全員がオンライン授業に取り組むことによって、さまざまな問題を一定程度解決できたことは学校にとって大きな収穫だったという。



工業高校



千葉県立市川工業高等学校



 千葉県立市川工業高等学校は、2019年4月に実施した電気科の生徒へのアンケートで「専門学科がとても難しい」という意見が多かったことから、「板書」や「資料配布」をクラウドを用いて行い、生徒がBYOD端末にダウンロードして授業中に閲覧できるようにした。その後、個別の課題回収などを行うために、クラウド活用時代に即したモラル・リテラシー教育を再度行ったうえで「G Suite for Education」を導入。生徒が自由に使える高速Wi-Fi環境も整備した。

 このようにICT環境が整備されていたため、2020年3月上旬に臨時休校が開始されても、電気科では休校直後からGmailによる生徒への支持・連絡や、Google Classroomによる課題配信・回収、「Google Meet」を活用したライブストリーミング授業、YouTubeを使った授業動画の配信などさまざまなチャレンジを実施し、学びを止めなかった。この取組みは、電気科という単一学科での取組みから、他教科、そして学校全体を巻き込んでいった。



大学



神田外語大学



 神田外語大学は、2014年から全員iPad必携化を進め、「G Suite for Education」や「Microsoft Office365」などを導入している。2020年度前期はオンライン授業となり、約1,000科目・1,500コマの授業をオンラインで開講した。同大学ではウェブデザインの授業に「Googleサイト」を利用している。対面授業では大学のパソコンで進められたが、オンライン授業では学生がPCを所有していない場合もあるため、iPadだけで「Googleサイト」によるWebサイトづくりを行っている。

 また、iPad用アプリ「Swift Playgrounds」を活用すれば、iPad上でiOSプログラミングを学ぶことができ、iPadだけで「ウェブデザイン」と「iOSプログラミング」を学ぶことができる。オンラインでも授業の目的をしっかりデザインしてアレンジすれば、プログラミングの授業が展開できるという。



千葉工業大学(学生視点)



 千葉工業大学では、感染症対策の一環で、すべての講義がオンラインになった。3年生の皆森浩奈さんは、「デジタル」であることを生かした受講スタイルを紹介。たとえば、講義で配布されたPDFの資料は「GoodNotes5」というアプリで編集し、Googleドライブで資料を共有して、自身が所有する2台のiPadで閲覧できるようにしていた。学生という「学ぶ立場」から見たオンライン学習のあり方、学生の学習環境のあり方も提案。将来、教員を目指している皆森さんは、大学の「講義」と小中高の「授業」におけるオンライン学習のあり方にも触れ、どんなときでも授業を続けられる環境を提供できるように考えている。


 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、各校でオンライン授業を実施することになり、オンライン授業のメリットやデメリットが明らかになってきた。各校の事例は、これからオンライン授業を導入する学校の指針になりそうだ。
《工藤めぐみ》

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