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次学年に移行して指導が可能に…文科省が特例告示

 文部科学省は2020年8月13日、次学年または次々学年に移して教育課程を編成することを可能とする特例を告示した。最終学年以外の児童生徒に関して、2年間または3年間を見通した教育課程編成で、学習の遅れを取り戻すことを可能とする。

教育行政 文部科学省
次年度以降を見通した教育課程編成
  • 次年度以降を見通した教育課程編成
  • 令和2年度から令和4年度における学習指導要領の特例の適用範囲
 文部科学省は2020年8月13日、次学年または次々学年に移して教育課程を編成することを可能とする特例を告示した。最終学年以外の児童生徒に関して、2年間または3年間を見通した教育課程編成で、学習の遅れを取り戻すことを可能とする。

 8月13日に告示されたのは、2021年度(令和3年度)から2022年度(令和4年度)までの間における小学校学習指導要領、中学校学習指導要領、高等学校学習指導要領、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領、特別支援学校高等部学習指導要領の特例を定めるもの。

 2020年度(令和2年度)に指導を計画している内容について学年内に指導が終えられるように努めても、新型コロナウイルス感染症による臨時休業や分散登校の長期化などで難しい場合、2021年度または2022年度までの教育課程を見通して検討。最終学年以外の児童生徒に係る教育課程に関する特例的な対応として、学習指導要領において指導する学年が規定されている内容を含め、一部について2021年度における基準学年の1学年上の学年、または2022年度における基準学年の2学年上の学年に移行して指導することを可能とする。

 なお、義務教育学校と中等教育学校前期課程については、すでに学年間の指導内容の移行が認められていることから、今回の告示の対象からは除いている。中等教育学校後期課程については、中等教育学校等特例告示に年次間の指導内容の移行を認める規定がないが、中等教育学校前期課程からの一貫した教育課程が編成・実施できる体制が整っていることから、新型コロナウイルス感染症への対応にあたっては、小学校等告示により年次間の指導内容の移行を認めている。併設型高等学校も、同様の趣旨で中等教育学校と同様の対応を取ることができるとしている。

 新しい学習指導要領への移行期間中である高等学校と視覚障害等特別支援学校の高等部については、民法の成年年齢が2022年度から18歳に引き下げられることを見据え、家庭科の指導で原則として入学年次およびその次の年次で指導することとされている「契約の重要性」「消費者保護の仕組み」に関する内容は、次年度以降を見通した教育課程編成の対象とならない。引き続き原則として、入学年次およびその次の年次において指導する必要がある。

 文部科学省では、特例の告示について8月13日付で全国の教育委員会などに通知を発出。告示の内容を説明し、学校に周知するよう求めている。また、留意事項として「異なる教科・科目等への指導内容の移行を可能とするものではない」「2021年度(令和3年度)または2022年度(令和4年度)の児童生徒や教職員の負担が過重にならないよう留意する」「学年間での引継ぎや転校にあたり、指導内容の漏れが生じないよう、児童生徒の学習状況を適切に共有する」などをあげている。
《奥山直美》

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