特定非営利活動法人School Voice Projectが運営するWebメディア「メガホン」は2025年6月3日、教職員を対象にした学校の冷暖房調査の結果を公表した。温度基準の認知度が向上している一方、冷暖房の能力不足や未設置、予算不足が障壁となっている実態が明らかになった。
学校の冷暖房調査は2025年2月10日から3月24日にかけて、全国の小学校から高等学校に勤務する教職員を対象に実施。72件の回答が寄せられた。
調査結果によると、文部科学省が定める「学校環境衛生基準」における教室の温度設定「18℃以上、28℃以下であることが望ましい」という基準について、「明確に知っていた」と回答した教職員は全体の25%で、前回調査から2%増加した。「だいたい知っていた」と回答した割合も前回の41%から49%に増加し、基準の認知度が向上していることがわかった。
夏季において、教室や職員室の温度基準を「しっかり守れている」「だいたい守れている」と回答した教職員は全体の8割以上にのぼった。特別教室では5割、体育館では2割強が基準を守れていると回答している。校種別にみると、小学校では教室78%・職員室89%、中学校では教室89%・職員室78%、高等学校では教室67%・職員室61%と、校種によって若干の違いがみられた。
冬季についても、教室や職員室の温度基準を「しっかり守れている」「だいたい守れている」と回答した教職員は全体の8割以上で、特別教室や体育館も夏季と同様の傾向がみられた。小学校では教室81%・職員室94%、中学校では教室100%・職員室83%、高等学校では教室83%・職員室72%と、夏季よりも基準を守れている割合が高い結果となった。
一方で、温度基準を「あまり守れていない」「まったく守れていない」と答えた理由としては、「暖房機器の能力不足」が最多で、ついで「予算不足」や「暖房機器が未設置、または不足している」があげられた。これらの結果から、気温の変化に対する機器や予算の整備が追いついていない現状がうかがえた。
自由記述では、教職員から予算や冷暖房未設置の施設への問題意識が多数寄せられた。特に、体育館や特別教室、準備室などにおける設備不足は、年々厳しくなる気温の中で、生命の危機にもつながる問題であるとする声があった。また、学校の断熱性や気密性に問題があるという意見もみられた。
今回の調査結果により、学校の温度管理には基準の認知度向上がみられる一方で、設備や予算の問題、教職員の意識の差など、さまざまな課題が残されていることが明らかになった。