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国立大の運営費交付金「増額が必要」文科相11/18会見

 国立大学について、財務省が運営費交付金依存から競争的資金へのさらなるシフトを求めたのに対し、文部科学省の松本洋平大臣は2025年11月18日の会見で、「基盤的経費である運営費交付金と科研費等の競争的資金のベストミックスによる支援が必要」と見解を述べた。

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松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年11月18日)
  • 松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年11月18日)

 国立大学について、財務省が運営費交付金依存から競争的資金へのさらなるシフトを求めたのに対し、文部科学省の松本洋平大臣は2025年11月18日の会見で、「大学の知的創造性を引き出し、最大化させるためには、基盤的経費である運営費交付金と科研費等の競争的資金のベストミックスによる支援が必要」と見解を述べた。

 財務省は11月11日開催の財政制度等審議会において、国立大学法人の運営費交付金のあり方などを議論。「運営費交付金から競争的資金へのさらなるシフト、野心的な経営改革と運営費交付金依存度低下目標の設定により、大学の創意工夫・改革を促すべき」などと指摘した。

 これに対して、松本大臣は11月18日の会見で文部科学省の見解を発表。「近年基盤的経費の一方的な削減などにより、システムに歪みが生じ、教育研究活動が阻害されているとの批判の声もあがっている」「大学の知的創造を引き出すため、安定的な運営費交付金の措置が不可欠」「近年の物価人件費の上昇等も踏まえ、増額が必要」と反論した。

 また、公立小中学校のスクールカウンセラーについて、財政制度等審議会が「全校配置はおおむね達成されているが、不登校児童生徒数の増加に歯止めがかかっているとは言えない状況。予算・人員の増加に応じた十分な効果が出ているとは言い難く、より効果的な活用策を模索すべき」と指摘したことに対しては、「スクールカウンセラーの支援により、約7.3万件の不登校に関する課題が解決、または好転をしたという効果もみられている」などと反論。配置充実など予算確保に意欲を示し、「より効果的な解決策は何かということは、我々も現場の皆さんと意見交換しながら、研究調査、取組みを進めている」と語った。

 中国教育省による日本への留学の自粛勧告、中国に在留している日本人児童生徒・学生・教職員などの安全確保についても言及。「外務省とも連携しながら、引き続き状況を注視し、適切に対応を行ってまいりたい」と述べた。

 11月12日に中央教育審議会・教師を取り巻く環境整備特別部会から「教師を取り巻く環境整備へ向けた緊急声明」が手交されたことについては、「緊急声明をしっかりと受け止め、ご提言いただいた内容について法律改正や予算確保に向けて、全力を尽くしてまいりたい」と語った。

 このほか、東大阪大学における留学生の入学者選抜における不正に対しては、「公正公平に行われるべき大学入学者選抜の信頼を大きく害するものであり、誠に遺憾」と見解を述べた。

《奥山直美》

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