あべ文部科学大臣は2025年10月21日、内閣総辞職にともない退任会見を行った。在任期間を振り返り、感謝の言葉を述べるとともに、理系人材育成や科学再興の取組みの成果・課題について総括。次期文部科学大臣への期待を表明した。
あべ文部科学大臣は、2024年10月1日に就任後、「誰1人取り残さない社会、取り残されない社会の実現」を目指し、副大臣の期間と合わせて通算678日間の在任期間中に、教育・科学技術・学術・文化の分野におけるさまざまな政策を実施した。特に、教職調整額の引き上げや高等教育費の負担軽減など、重要な政策を実現。また中学校35人学級の実現に向けて、「大臣としての役割を一定程度果たせた」と振り返った。
科学技術・学術分野では、「理系人材の増加に向けた取組み」を1つの柱として言及。デジタル教育の強化を進め、全国の高等学校に最新のICT環境の整備と専門的な外部人材の活用を促進したと報告した。他方、科学の再興に向けて、基礎研究支援と研究者環境の改善が最重要課題であると語った。さらに、性に関する指導については、学習指導要領の改定に向けた具体的な議論が必要と述べ、命の安全教育や性教育がより充実するよう、中央教育審議会での議論が進むことに期待を寄せた。
また、在任中に行った64回の国内出張および6か国への海外視察では、現場の声を聴き、文部科学行政に生かすために大きな収穫があったことを報告。日本の教育が海外から高く評価されていることを実感し、国際的な頭脳循環に向けた環境整備が今後の課題であると述べた。
退任後については、「引き続き国会議員として、教育・科学技術振興の立場から応援してまいります」と文部科学行政に関わり続ける姿勢を示した。今後もさまざまな課題に直面することになるであろう次期大臣には、「文部科学省職員の先頭に立って、文部科学行政の推進に尽力していただきたい」と期待を表明した。