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違法薬物「手に入る」大学生が減少、関関同立の共同調査

 大麻や危険ドラッグなどの薬物が「手に入る」と考える学生が前年度より3割程度減少していることが2025年10月21日、関西4大学の共同調査結果からわかった。薬物乱用問題については、7割近くの学生が危機感や不安を感じていると回答した。

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薬物乱用問題について危機感や不安を感じているか
  • 薬物乱用問題について危機感や不安を感じているか
  • 薬物の名前の認知度
  • 薬物を使うことについての考え
  • 薬物の使用や購入を誘われたり、勧められたりすることが、これまでにあったか
  • 周囲に薬物を所持したり、使用している(いた)人がいるか
  • 薬物を入手することが可能か
  • 医薬品医療機器等法により、危険ドラッグと称される薬品や商品の多くが、使ったり、持っていたりすると罰則の対象となる薬物になっていることを知っているか
  • 市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が社会問題になっていることを知っているか

 大麻や危険ドラッグなどの薬物が「手に入る」と考える学生が前年度より3割程度減少していることが2025年10月21日、関西4大学の共同調査結果からわかった。薬物乱用問題については、7割近くの学生が危機感や不安を感じていると回答した。

 関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学の関西4大学は、2009年に薬物乱用防止に関する共同声明を発表。その取組みの一環として毎年、4大学共同で新入生を対象に「薬物に関する意識調査」を実施し、結果を報告書にまとめている。2025年度は、4月に入学した新入生2万7,895人を対象に4~5月に調査を実施し、2万4,023人(回答率86.1%)から回答を収集した。

 「薬物乱用問題について危機感や不安を感じているか」という問いには、「非常に感じている」32.8%、「ある程度感じている」35.6%をあわせて、68.4%が危機感や不安を感じていると回答した。

 薬物の名前の認知度は「大麻(マリファナ、ハッパ、ハッシッシュなど)」が92.6%でもっとも高く、「覚せい剤(シャブ、スピード、エスなど)」が86.5%、「コカイン(コーク、スノウ、クラックなど)」が81.9%と続いた。前年度に回答を新設した「大麻入り食品(大麻グミなど)」の認知度は64.0%だった。

 薬物使用に関しては、91.3%の学生が「どのような理由であれ、絶対に使うべきではないし、許されることではない」と回答。その一方で「1回くらいなら心や体へ害がないので、使ってもかまわない」(1.0%)、「他人に迷惑をかけないのであれば、使うかどうかは個人の自由」(6.6%)と考えている学生も依然として一定数存在していた。

 薬物の使用や購入については、94.1%の学生は「誘われたり、勧められたことはない」と回答しており、前年度より1.1ポイント増加した。「購入を勧められたことがある」は0.5%(118人)、「使用を誘われたことがある」は0.9%(211人)、「無理やり使わされたことがある」は0.2%(52人)だった。周囲に薬物を所持したり、使用している(いた)人は「いない」が89.4%を占めたが、「いる(いた)」という回答も3.3%(800人)存在した。

 薬物の入手については「不可能だ」80.2%、「かなり難しい」12.2%と、不可能という回答が前年より30%ほど増加した。「難しいが手に入る」は5.8%、「手に入る」は1.8%と、いずれも前年度より大きく減少しており、入手が困難になっていることがうかがえる結果となった。

 医薬品医療機器等法により、危険ドラッグと称される薬品や商品(脱法ハーブ、合法アロマリキッドなど)の多くが、使用や所持が罰則の対象となる薬物になっていることは「知っている」71.2%、「知らなかった」28.8%と、前年度からほぼ横ばい。市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)が社会問題になっていることは、「知っている」81.7%、「知らなかった」18.3%と、前年度から認知度が増加した。

 報告書は、各大学Webサイトなどで公開している。4大学では、2025年度も学生と共に取り組む啓発活動として、「啓発ポスター」を作成。今回の結果をもとに薬物乱用防止策を企画・立案し、引き続き薬物に関する教育・啓発活動を展開していくとしている。

《奥山直美》

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