こども家庭庁は2025年11月28日、2025年度補正予算案の概要を公表し、こどもDX推進に72億円、保育士などの処遇改善に844億円を計上した。総額6,479億円にのぼる。この予算案は、ICTやAIを活用した支援強化、若者政策の本格始動、および多様な主体が連携したこども・若者支援システムの構築を柱としている。
DX施策として、こどもDXの着実な推進に72億円が充てられる。保育業務施設管理プラットフォームの機能改修を進め、給付や監査などの保育業務のワンスオンリーを実現することで、保育士などや自治体担当者の事務負担の軽減を図る。また、母子保健分野では、妊婦健診や乳幼児健診でマイナンバーカードやスマートフォンなどを活用できるよう、オンライン資格確認などシステムと連携するための費用などが補助される。これにより、妊婦・乳幼児の保護者の利便性向上が目指される。
支援ニーズを見逃さないための対策として、こどもの自殺対策の強化に1億円が計上され、危機感を持って緊急的に対策が立ち上げられる。自殺につながる危険性のあるこどもについて、こどもの検索データ、SNS、AIの活用も見据えた新たなアプローチの検討を通じて、リスクの早期発見などを行う仕組みの構築を目指す。
また、多様で質の高い育ちの環境を提供するため、保育士などの処遇改善に844億円が充てられ、公定価格上の人件費が5.3%改善される。こども家庭庁発足(2023年4月)以降、保育士などの処遇は21.2%の引き上げとなる。
放課後のこどもの居場所を拡大するモデル事業も創設され、10億円が計上された。これは、放課後児童クラブの待機児童が約1.7万人いる喫緊の課題に対応するため、企業などの活力を生かした小学生の預かり機能の構築を図るもので、「放課後のこどもの居場所」を提供する企業などを補助する。
さらに、本格的な若者政策の始動として、若年世代の状況を大規模・包括的に把握するため「若者10万人の総合調査」が初めて実施され、1億円が計上された。これは15歳から39歳の10万人のWebアンケート調査などを中心に行われ、真に若者の視点に立った政策展開を行うことが目的である。









