少子高齢化、グローバル化、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)の波…。社会がかつてない速度で変革を遂げる中、高等教育機関もまた、そのあり方を問い直す時期に差し掛かっている。法政大学は、この激動の時代において、創立以来の理念「自由と進歩」を礎に、「実践知」を育む大学DXを強力に推進している。本稿では、法政大学におけるDXの基本方針から具体的な取組み、そして未来への展望に至るまで、その全貌を掘り下げていく。
同大学の教育開発支援機構長・生命科学部教授である山本兼由氏、学務部学務課長の土屋貴之氏、同主任の鍋田純子氏に、法政大学におけるDX戦略の現状と展望について話を聞いた。
法政大学のDXの基本方針と「大学憲章」
法政大学のDXの根底には、2016年制定の「法政大学憲章」にうたわれる「実践知」の養成という、明確な教育理念がある。山本氏は、「法政大学では、実践知を磨く大学DXの活用をうたっています。DXは目的化されるべきものではなく、教育の高度化に貢献するものであるべきだと考えている」と語り、DXが「持続可能な社会に貢献する実践知」の育みを支えるものだと強調する。