次期学習指導要領に向けた検討を重ねている中央教育審議会 教育課程企画特別部会の第9回会議が2025年6月16日に開かれ、授業時数の弾力化や教科書の分量の精選など、これまでの議論を踏まえた論点が整理された。
2024年12月の中央教育審議会への諮問「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」では、教育課程の実施にともなう教師の負担感を減らすべく、「余白の創出」に重点が置かれた。
一方、文部科学省によると、教科書ページ数は約50年前と比べ、小学校で約3倍、中学校で約1.5倍に増えている一方で、最低授業週数は35週を根拠に、標準時数を35週で割り、週29コマ実施しなければならないという習慣が根強いという。
今回の論点整理では、「余白の創出を通じた教育の質向上」と題し、これまでの審議の内容を振り返っている。授業数については、週あたり時数を減らす工夫例を提示し、実施可能な授業時数を「1,120コマ(40週×28コマ)−60コマ−45コマ=1,015コマ」と設定。「調整授業時数制度(仮称)」を打ち出し、年度途中のカリキュラム・マネジメントで、特定の教科等の標準を下回る見込みであっても、他の教科や「裁量的な時間(仮称)」から時数を充てることで、必要な時間の確保を可能にする案を示した。
学習指導要領は、各教科等の本質的理解(中核的な概念等)の獲得に重点を置き、学校段階や教科等の特性を踏まえ構造化。肥大化が指摘される教科書の内容は、教科等の中核的な概念等を掴みやすいものに精選するなどし「厚い教科書をすべて教える」からの脱却を図りたい考えだ。また、教師用指導書については、精選された教科書の分量や裁量の余地を踏まえ、多様な授業アイデアや教材活用の可能性などを盛り込むことを検討している。