GIGAスクール構想による1人1台端末環境の実現から4年が経過し、次フェーズとなるGIGAスクール構想第2期(以下、GIGA第2期)に移行しつつある。多くの自治体で端末更新が進められているが、GIGA第1期で使用していた端末の処分も同時に検討が必要となっている。
文部科学省は古いGIGA端末の処分について、法令を遵守した適切な対応を求めるとともに、端末の再使用または再資源化もあわせて検討してほしいと呼びかけている。
企業・法人向けに不要端末の下取り・引取りサービスを行ってきたSB C&Sは、これまでのノウハウを生かして新たにGIGA市場にもサービスを拡大した。サービスの概要や利用するメリットなどについて、SB C&S ICT事業本部 システム基盤推進本部 LCM推進統括部 LCM推進部 事業企画課の赤羽氏に聞いた。
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データ漏洩防止を徹底したSB C&Sの下取りサービス
--SB C&Sでは以前から下取りサービスを行っていたとのことですが、サービスの特徴を教えてください。
当社では10年前から企業・法人向けのICT機器買取・データ消去サービスを提供しており、データ漏洩防止の徹底をもっとも重視してきました。データ消去専用のソフトウェアを使用し、消去後には証明書を発行できる体制をとっています。
また、3R(リユース・リデュース・リサイクル)の中でも、リサイクルよりも環境貢献度が高いリユースを推奨しており、使用済み機器のうち、価値のあるものは有価で買い取ることで、新しい機器やサービスを購入する際のコスト削減にお役立ていただくことができます。
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データが入っている機器の処分には専門知識が必要です。壊せば良い、捨てれば良いというものではありません。「何となく、適当に処分してはいけないのだろうな」と思っている方も多いと思いますが、ご自身で輸送業者・引取り業者を探すのは非常に大変です。当社にお任せいただければ、下取りなのか、廃棄なのかの判断も含め、処分完了までにかかる多大な負担を軽減できます。
GIGA端末向けサービス開始の背景
--今回、新たにGIGA端末向けにサービスを始めた理由を教えてください。
SB C&SはGIGA第1期において、多くの自治体や学校に端末を納品しました。今回、その端末が更新時期を迎え、多くの自治体・学校で端末処分の問題が発生しています。実際、当社にも「端末処分をどこに相談すれば良いかわからない」という声が多く届いており、処分や再利用に関する需要が急増していることを感じています。幸い当社には端末を適切に処分するための知識やノウハウがありましたので、それをフル活用して自治体や学校が直面しているGIGA端末処分の問題を解決できるのではないかと考えました。
GIGA環境の整備を一貫して担っているSB C&Sだからこそ、最後まで責任をもってサポートしたい。そしてGIGA第2期にかかる端末更新費などの負担を少しでも減らせるような取組みをしたいという思いから、GIGA端末の下取り・引取りサービスを開始することになりました。
データ消去を安心して任せられる環境を整備
--GIGA端末の処分において、特に重要視しているポイントは何でしょうか。
先ほどもお話ししましたが、やはり最優先はデータ漏洩の防止です。当社では、輸送前の段階で端末の初期化と各種管理ツールなどの解除を管理者や学校にお願いしています。ほかの企業ではユーザーに初期化を一任するケースもありますが、当社は初期化手順や各種管理ツールの解除方法を記載したマニュアルを用意しています(一部ツールを除く)。輸送時の紛失や盗難など、万が一の事態が起きてしまってもデータ漏洩のリスクを最小限にするための取組みです。
輸送された端末は監視カメラ付きの専用エリアで、専用のソフトウェアを使用してデータを完全に消去しています。GIGA端末は児童生徒の情報が含まれている可能性があるため、これまで以上に安全性の担保が必要だと考えました。そこで、データ消去プロセスの正確性・安全性を評価する「ADEC(Association of Data Erase Certification:エイデック)」の最上位評価を取得する施設、または「R2(Responsible Recycling)」認定のある施設でデータ消去対応を行っています。
そして、そのデータが確実に消去されたことを証明する「データ消去証明書」を発行しています。証明書には端末のシリアル番号とともに、個別に消去が完了したことが明記されるため、どの端末がどのように処理されたか、個体ごとに記録を残すことができます。輸送から第三者認証を取得している施設での完全なデータ消去まで、各段階で必要となる専門知識を備えて対応ができる安全性は我々が自負するところです。
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--安心してお任せできる環境が整っているのはありがたいですね。ほかにも自治体や教育委員会のメリットとなる点はありますか。
GIGA端末を組織内だけで対処することはとても大変です。端末の処分は、データを扱うリスクや廃棄する場合の「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」作成など、非常に複雑な対応が必要となります。それらを個別に対応する大変さは想像に難くありません。私たちは、これらの工程にワンストップで対応します。
窓口を一本化することで、処分にかかる工数を大幅に削減でき、安心安全で環境貢献にも配慮した処理を行える点もメリットだと思います。
GIGA端末下取り・引取りサービスの3プラン
--サービス内容について具体的に教えてください。
GIGA第1期では端末導入が急がれたため、あまり高スペックではない端末が導入されているケースが多いです。その点を踏まえ、GIGA端末下取り・引取りサービスでは3つのプランを用意しました。
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ICTライフサイクルサービス
1つ目は、従来のSB C&SのICT機器買取にあたる「ICTライフサイクルサービス」です。おもに有価で下取りが可能なWindowsや、iPadからWindowsなどの他OSに更新する場合が対象となります。特に今回のサービス開始にあたりパワーアップしたサービスとなっています。
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iPad下取りサービス
2つ目は「iPad下取りサービス」です。iPadからiPadへの更新が対象で、製造メーカーと協力し、iPadの下取り金額をGIGA第2期の端末導入時の費用に充当できる仕組みになっています。GIGA端末の更新では、端末の査定から回収まで数か月から1年程度の期間が空いてしまいますが、間が空いても査定時の金額を新しい端末の導入費としてご利用いただけます。また、査定から回収までの間に端末を紛失・破損した場合についても査定額は保証されます。
リサイクル業者紹介サービス
3つ目は、有価での引取りが難しい場合にご利用いただける「リサイクル業者紹介サービス」です。下取りに値が付かない、リユースに回せない端末は産業廃棄物となり、適正に処分しなければなりません。当社は産業廃棄物取扱いの許認可をもっていないため直接扱うことはできませんが、小型家電リサイクル法の認定事業者をご紹介し、当社が廃棄サービス(利用券)を販売します。この場合、新たな処理業者を探す手間や、新規の取引口座を開く手間を省けること、請求処理がスムーズに行えることがメリットになります。
GIGA端末の下取り・引取りに向けた強化点
--OSやスペックによって提供できるサービスや処理方法が異なるのですね。「ICTライフサイクルサービス」が、パワーアップした点について詳しく教えてください。
大量のGIGA端末データ消去に対応するため、GIGA端末専用エリアを増床した点がパワーアップポイントだと思います。
もうひとつは、売却先の多様化です。GIGA端末は同スペックの製品が一度に大量に流通することから、国内中古市場だけでは飽和状態になることが想定されます。そこで、アメリカやドバイ、途上国など、世界中に販路を拡大し、直接海外のバイヤーとも連携を進めています。売却先の増加は下取り力のアップと直結します。特にWindows端末は、国内への売却では価値が付けられなかったものでも、海外で需要がある場合もあります。リユースの売却先が広がれば、その分、端末の価値を最大化することができます。
--Windows端末の下取りや引取りを行う場合、どのような流れになるのでしょうか。
まず、端末情報をヒアリングし、仮の見積りを提示します。次に、端末を引き取り、専用施設で確実にデータ消去します。その後、端末の状態を確認して最終的な査定額を決定します。査定後、金額などを承認いただいたうえで、料金をお支払いするという流れになります。Windows端末は中古市場の変動に応じて価格が変わるため、仮の見積りと下取り時の査定で金額が変わります。
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多くの自治体が限られた予算の中で、子供たちにとってより良いGIGA第2期を実現しようと奮闘しています。ですので、我々のサービスを通じて、処分する端末に少しでも価値が付くことで、より良いGIGA環境の実現に貢献できればと考えています。
データ漏洩を防ぐ徹底的な安全管理
--多くの端末を一度に輸送することになると思いますが、利用者にはどのような作業が発生しますか。
輸送時の負担を軽減するため、日程調整や回収の手配も当社が行い、基本的にはこちらから回収に伺います。一部、離島などでは郵送で対応することもありますが、輸送中の安全確保や手間を軽減するためのサポートもしっかり行っています。これも、自治体や教育機関の皆さまが安心して処理を委託できるようにするための取組みです。
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GIGA第2期への移行をトータルサポート
--最後に、GIGA第2期に向けて端末処分を検討中の自治体や教育委員会の方へメッセージをお願いします。
自治体や教育委員会にとっても、これだけの大規模な端末の一斉処分はおそらく初めての経験かと思います。対処に間違いがあってはならないことですので、困りごと、悩みごとがあればぜひ一度ご相談ください。GIGA第1期の導入時に他社から調達した端末であっても、処分が再来年度など先の予定であっても問題ありません。早い段階から不安材料をなくしていくことはGIGA第2期へのスムーズな移行につながると思いますので、お気軽にご相談ください。
SB C&SのGIGA端末の処分は、徹底的なセキュリティ確保、環境への配慮、そして業務効率化を同時に実現する取組みです。安心安全かつ持続可能な社会へ貢献する取組みとして、自治体や教育委員会のお役に立てることを願っています。
また、下取り・引取りサービスだけでなく、新規端末の調達、キッティングといったサポートまで、トータルでSB C&Sのサービスをご利用いただくことで、大きなメリットを感じていただけると思います。現場の課題に真摯に向き合い、よりストレスのない効果的なGIGA活用をともに実現していくため、多くの自治体のお手伝いをしていきたいです。
教育機関お問合せ販売店お問合せGIGAスクール構想は次のフェーズを迎え、新規端末への一斉更新が進められている。新たな導入にばかり目が行きがちだが、役目を終えた端末を適切に処分することは、文部科学省や環境省、経済産業省が求めるところでもある。
情報漏洩の防止、リユースによる環境貢献、リサイクルによる有用な金属の再資源化、そして自分たちが使い終わった端末の正しい処理方法を示すことで、子供たちへのサステナブルなアクションにもつながるのではないだろうか。多くの自治体が端末処分で困ることのないよう、安心して適切に処分される手段を選択できることを願う。