保育・教育施設向けICTサービス「CoDMON」を提供するコドモンは、同サービスを利用する全国の保育施設を対象に「生成AIの利用」に関するアンケートを実施し、その結果を発表した。調査結果によると、生成AIを利用している施設は全体の20%にとどまり、施設全体での利用はわずか3%であることがわかった。
この調査は、保育施設における生成AIの利用状況を把握し、今後の活用に向けた課題を明らかにすることを目的としている。2024年11月11日から11月17日までの期間に行われ、436件の回答が集まった。調査方法はメール案内とWeb回答方式で行われ、コドモンが調査を担当した。アンケート結果からは、生成AIの利用が進んでいない現状や、利用に対する不安が浮き彫りになった。
生成AIを利用している施設の中で、保護者へ配布する文章の素案作成に利用している割合が63.2%ともっとも多く、ついで文章の校正やチェックに54.0%が利用していることがわかった。これにより、文章作成に関する業務で生成AIが活用される機会が多いことが示された。一方で、保育記録の作成に生成AIを利用することに抵抗を感じる施設が63.3%ともっとも多く、写真の区分けや不適切写真の摘出に32.7%が抵抗を感じていることが明らかになった。
生成AIの利用に関する不安については、利用していない施設の71.7%、利用している施設の39.0%が不安を感じていると回答した。不安の内容としては、「生成AIが出す情報の正確性・偏り」がもっとも多く、利用者の50.6%、非利用者の69.3%がこれをあげた。また、情報漏洩やセキュリティ、保育者の生成AIへの依存も不安要因としてあげられた。
今後の生成AIの活用意向については、生成AI利用者の96.5%が「活用したい」と回答し、業務の負担軽減につながることを期待している。一方で、生成AIを利用していない施設では61.9%が活用したいと考えているが、漠然とした不安を抱えているという意見も多く見られた。生成AIの利用推進にあたっては、こうした不安にどう寄り添い解消していくかが求められる。
保育ICT(コドモンを含む)に求める生成AIの機能としては、各種あいさつ文素案作成や週日案の自動作成、日々の保育記録を要約し要録作成につながる機能などがあげられた。保育現場では、生成AIの適切な利用が求められており、あるべき姿から考えた機能開発が重要となる。
アンケート結果からは、生成AIの利用には不安を抱えている施設が多く、すべてを任せることは難しいという現状が浮き彫りになった。一方で、生成AIに期待を寄せる声も多く、活用方法自体は積極的に考えていく必要がある。今後も保育現場の職員の声を参考にし、あるべき姿からAIの利用について検討していくことが求められる。