学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか？クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第188回のテーマは「夏休みなどの長期休みの学習はどのように進めたらよいか」。
長期休みの子供の生活の主体は家庭
保護者にとって夏休みなどの長期休みは「負担」という側面があります。学校がある期間とは違い、子供の食事を含めた生活のケアについて、学習についてなど、色々と考える必要が出てきます。そういった状況ですが、学校が取り組むべきことについて過度に指示をすることは良いやり方ではないと私は考えています。もちろん、今回のテーマは、その学校が置かれている状況、家庭の状況なども関係することなので、一般論としてはまとめてしまうことができない面はあるのも事実です。
夏休みなどの長期休みの子供の生活の主体は学校でなく、家庭であるべきだと私は考えます。長期休みだから、家庭主体だからこそ、学ぶこと、体験できることがあります。学校がイニシアティブをとってしまうと、学校がある時期と似たような状況になってしまいます。長期休みも学校のある時期の延長のような感じになってしまう可能性があります。
長期休みは保護者が自分の子供と向き合う良いチャンスです。子供が一日をどのように過ごすのかということは保護者が子供にきちんと向き合わないと決められないことです。学校がイニシアティブを取りすぎると、保護者はそういった子供と向き合う機会を失うことにもつながります。
学校が保護者の負担を意識し、対応し過ぎるのは良くないと私は思っています。親子の関わりにおいて「過保護」が良くないのに似ていると思います。学校が何でもお膳立てをすれば、保護者としては楽だと思います。そういったお願いをしてくる保護者も少なくないかもしれません。そういったことと関係して、学校では「子供のため」という言葉に従い、学校が取り組むことがどんどん増えていきました。教師も夏休みに課題を出すことが子供のためになると信じ、手間をかけ、さまざまなことに取り組んできました。ただ、それが果たして子供の育ちにおいてプラスだったのかということをきちんと見つめたほうが良いと思います。新型コロナウイルスの流行によって、私たちは学校のあり方や子供の学びのあり方について考えさせられました。今は学校や子供の学びが変わっていく良いチャンスです。このタイミングで今の時代に合った形に変えていくことも必要でしょう。
家庭で取り組める方法を紹介する
これまで教員は積極的に長期休みの子供の取組みについて関わらない方が良いということを書いてきました。ただ、もちろん今の時代にあったやり方で関わっていくことも必要だと思います。たとえば、GIGA端末を活用した取組みを紹介することなどです。国語や算数などの学習に関しても、そういったものではなく自由研究的な取組みに関しても、GIGA端末を上手に活用することで質の高い学びにつなげることが可能です。ネットを用いた子供の学びに関する分野はこの数年で加速度的に質の向上が見られています。学校で教師と関わりながら活用するタイプのものだけでなく、子供が家庭において一人で、もしくは親と関わりながら取り組むことができるアプリなども多数存在しています。その子供の状況に応じて、家庭で取り組むことのできる方法を紹介していくことは良いことでしょう。
本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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