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夏休み明け前後の自殺防止…厚労省や文科省が取組み強化

 子供や若者の自殺が長期休暇明け前後に増加する傾向を踏まえ、厚生労働省は2023年8月1日、政府全体で子供・若者の自殺防止に向けた取組みを強化し、集中的な啓発活動を実施すると表明した。ポスターや動画の掲示、相談窓口の周知、学校への働きかけなどを開始している。

教育行政 文部科学省
令和5年度自殺予防週間広報ポスター
  • 令和5年度自殺予防週間広報ポスター
  • 小中高生の自殺者数の推移(警察庁「自殺統計」より厚生労働省自殺対策推進室作成)

 子供や若者の自殺が長期休暇明け前後に増加する傾向を踏まえ、厚生労働省は2023年8月1日、政府全体で子供・若者の自殺防止に向けた取組みを強化し、集中的な啓発活動を実施すると表明した。ポスターや動画の掲示、相談窓口の周知、学校への働きかけなどを開始している。

 小中高生の自殺者数は、近年増加傾向が続いており、2022年は過去最多の514人となった。2023年の児童生徒の自殺者数は、1月から5月までの暫定値で164人(前年同期間190人)と深刻な状況にある。

 政府が2022年10月に策定した新たな自殺総合対策大綱には、子供・若者の自殺対策のさらなる推進・強化を盛り込んでいる。2023年6月の「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」では「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめている。

 8月1日からは、特に子供・若者を対象とした自殺防止の啓発活動について、厚生労働省、こども家庭庁、文部科学省、内閣官房孤独・孤立対策担当室が連携して実施する。

 厚生労働省は、子供・若者にメッセージが伝わりやすいよう、同年代をイラストに描いたポスターや動画を作成し、夏季休暇中から掲示。自殺対策に関する相談窓口の情報をまとめたWebサイト「まもろうよ こころ」を周知するなど、幅広いルートを通じて子供・若者に必要な情報を届けていくとしている。

 文部科学省では、7月10日付で全国の学校設置者や教育委員会に向けて通知を発出。18歳以下の自殺は、学校の長期休業明けにかけて増加する傾向にあり、9月1日に児童生徒の自殺者が顕著に多い年もあることから、保護者や地域住民、関係機関などと連携しながら、学校として児童生徒の尊い命を救うため、自殺予防の取組みに全力で取り組むよう求めている。

 厚生労働省のWebサイト「まもろうよ こころ」内のページ「広げてみよう支え合い」では、広報ポスターや広報用動画、バナー画像、PDFデータなどの素材を提供している。必要とする人に届けるため、学校や職場などで自由にSNS(LINE、Twitter、Facebookなど)で拡散できる。

 「まもろうよ こころ」では、悩みを抱えている人の事情や年代、電話できる時間などにあわせて選べる電話相談窓口を紹介。電話で相談しづらい人のため、LINEやオンラインチャットなどの相談窓口も設けている。

《奥山直美》

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