文部科学省は2024年7月12日、夏休み明けに増加傾向にある児童生徒の自殺を予防する取組みについて、各都道府県の教育委員会などへ通知を出した。SOS早期把握に向け、ICTツールも活用し、夏休みに入る前からアンケート調査や教育相談、ひとりひとりに対する面談などの対策を求めている。
18歳以下の自殺は、学校の長期休業明けにかけて増加傾向にあり、特に9月1日の始業日は児童生徒の自殺者が顕著に多いことも明らかとなっている。また2023年の児童生徒の自殺者数は513人で過去2番目に多く、2024年1月から5月までの暫定値で自殺者数はすでに182人という状況にある。
文部科学省はこうした状況を踏まえ、各都道府県の教育委員会などに通知を発出。保護者、地域住民、関係機関等と連携のうえ、児童生徒の自殺予防に係る4つの取組み「学校における早期発見に向けた取組み」「保護者に対する家庭における見守りの促進」「学校内外における集中的な見守り活動」「ネットパトロールの強化」を依頼した。
各学校では、長期休業の開始前から、ICTツールも活用しつつ、アンケート調査、教育相談等を実施するとともに、ひとりひとりに対して面談を行うなど、悩みや困難を抱える児童生徒の早期発見に努めるよう要請。さらに「SOSの出し方に関する教育」を含めた自殺予防教育の実施に加え、「24時間子供SOSダイヤル」をはじめとする電話相談窓口や、SNS等を活用した相談窓口の周知を積極的に行うよう求めた。
また長期休業期間中は、全校(学年)登校日、部活動等の機会を捉えて児童生徒との面談の実施や、保護者への連絡、家庭訪問等により継続的に児童生徒のようすを確認。児童生徒に自殺を企図する兆候がみられた場合には、教職員が抱え込まず、速やかに学校の管理職、学校設置者と情報共有を図り、保護者、医療機関等とも連携しつつ、命の危機を防ぐため万全の体制で対応にあたるよう依頼した。
長期休業明けの前後は、地域等と連携し、児童生徒への見守り活動を強化するとともに、インターネット上の自殺をほのめかす等の書き込みなどのネットパトロールを、平常時よりも実施頻度を上げるなどして集中的に実施するようお願いしている。
通知には、「1人1台端末を活用した健康観察・教育相談システム一覧」や「健康観察・教育相談アンケート作成マニュアル」「不登校児童生徒等の早期発見・早期支援事業について」など6つの資料を添付。1人1台端末等の活用などにより、SOSの早期把握に取り組むよう呼び掛けている。