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3月は自殺対策強化月間…各所連携し「いのち支える自殺対策」を

 文部科学省は、3月の「自殺対策強化月間」を前に、児童生徒の自殺予防に係る取組みについて通知を発出した。児童生徒の自殺は学校の長期休業明けに増加する傾向があることを踏まえ、学校・自治体と保護者、地域住民、関係機関等とが連携のうえ、児童生徒の自殺予防に取り組むよう強く求めている。

教育行政 文部科学省
児童生徒の月別自殺者数(推移)
  • 児童生徒の月別自殺者数(推移)
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  • 厚生労働省「まもろうよこころ」ポスター

 文部科学省は、3月の「自殺対策強化月間」を前に、児童生徒の自殺予防に係る取組みについて通知を発出した。児童生徒の自殺は学校の長期休業明けに増加する傾向があることを踏まえ、学校・自治体と保護者、地域住民、関係機関等とが連携のうえ、児童生徒の自殺予防に取り組むよう強く求めている。

 警察庁・厚生労働省の自殺統計によると、2023年の児童生徒の自殺者数は507人(暫定値)と、前年同様高い水準にあり、極めて憂慮すべき状況が続いている。2022年の児童生徒の自殺の原因・動機としては「学業不振」や「入試の悩み」などが多くなっており、18歳以下の自殺は学校の長期休業明けにかけて増加する傾向にあることから、進学や進級と重なる3月を「自殺対策強化月間」と定めている。この時期は特に、進路に迷う児童生徒が多くなることから、進路指導の充実や見守り活動を丁寧に実施するよう求めた。

 自殺対策強化月間においては、国、地方公共団体、関係団体、民間団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念のもと、「自殺はその多くが追い込まれた末の死である」「自殺対策とは、生きることの包括的支援である」という認識の浸透も含めた啓発活動の推進や、必要な支援が受けられるような支援策を重点的に実施する、との指針を示しており、保護者、地域住民、関係機関等と連携のうえ、児童生徒の自殺予防の取組みに全力で取り組んでほしいとしている。

 また、個別の児童生徒の状況を多面的に把握するICTツールを適切に活用することで、児童生徒の心や体調の変化の把握や、悩みや不安を抱えた児童生徒の早期把握・早期支援につながると考えられることから、文部科学省では、2023年度補正予算において「1人1台端末等を活用した『心の健康観察』の導入に向けた調査研究」を計上。ICTツールを活用した早期発見早期対応のモデル構築を推進するべく、2月14日に公募を開始している。公募の参加表明書の提出締切は2月29日午後5時、企画提案書の提出は3月7日午後5時必着。

 そのほか通知では、1人1台端末等を活用して無償・有償で利用できる健康観察・教育相談システム一覧を添付。資料を活用しつつ、1人1台端末等を活用した「心の健康観察」の導入推進について積極的に取り組むよう呼びかけている。また、地域全体で「こども・若者が自殺に追い込まれることのない地域づくり」を進めていくため、政府が全国に設置を推進している、多職種の専門家で構成される「こども・若者の自殺危機対応チーム」についても周知。チーム設置への積極的な協力も依頼している。

《畑山望》

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