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公立学校の教員採用、倍率は過去最低3.4倍…6年連続低下

 2023年度(2022年度実施)公立学校教員採用選考試験で、小学校教員の競争率(採用倍率)が2.3倍と過去最低を更新したことが2023年12月25日、文部科学省の調査結果より明らかになった。全体の競争率も6年連続で下がり3.4倍と過去最低を更新した。

教育行政 文部科学省
総計受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移
  • 総計受験者数・採用者数・競争率(採用倍率)の推移
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  • 小学校受験者数の内訳(新規学卒者、既卒者)
  • 中学校受験者数の内訳(新規学卒者、既卒者)
  • 高等学校受験者数の内訳(新規学卒者、既卒者)

 2023年度(2022年度実施)公立学校教員採用選考試験で、小学校教員の競争率(採用倍率)が2.3倍と過去最低を更新したことが2023年12月25日、文部科学省の調査結果より明らかになった。全体の競争率も6年連続で下がり3.4倍と過去最低を更新した。

 文部科学省は、67都道府県・指定都市教育委員会および大阪府豊能地区教職員人事協議会による公立学校教員採用選考試験の実施状況について、毎年度調査を行っている。今回、2022年度(令和4年度)に実施された2023年度(令和5年度)採用選考の実施状況を取りまとめ、結果を公表した。

 受験者総数は、前年度比5,258人減の12万1,132人。採用者総数は、前年度比1,666人増の3万5,981人。全体の競争率は前年度比0.3ポイント減の3.4倍となった。

 試験区分別では、小学校は受験者数が前年度比1,683人減の3万8,952人、採用者数が前年度比867人増の1万7,034人。競争倍率は2.3倍(前年度2.5倍)で、4年連続で過去最低を更新した。

 中学校は、受験者数が前年度比1,539人減の4万1,048人、採用者数が前年度比437人増の9,589人。競争倍率は4.3倍(同4.7倍)で、1991年度(平成3年度)の過去最低倍率4.2倍とわずか0.1ポイント差となった。

 高校は、受験者数が前年度比1,528人減の2万2,463人、採用者数が前年度比105人増の4,599人、競争倍率が4.9倍(同5.3倍)で、2007年度(平成19年度)の過去最高倍率14.2倍をピークに近年は減少傾向にある。このほかの試験区分では、特別支援学校が2.4倍(同2.8倍)、養護教諭が7.4倍(同7.2倍)、栄養教諭が8.8倍(同9.0倍)となった。

 都道府県別の競争率をみると、多くの自治体で競争率が低下。増加したのは「秋田県」3.0倍(同2.7倍)、「茨城県」4.3倍(同3.3倍)、「栃木県」4.8倍(同3.9倍)、「富山県」2.1倍(同2.0倍)、「長野県」3.7倍(同3.5倍)、「大阪府」4.7倍(同4.3倍)、「和歌山県」4.2倍(同3.7倍)、「鳥取県」5.4倍(同4.4倍)、「島根県」3.4倍(同3.2倍)、「広島県」3.6倍(同3.0倍)、「徳島県」5.7倍(同5.5倍)、「大分県」2.8倍(同2.6倍)、このほか市別では、仙台市、浜松市、京都市など。「高知県」は8.5倍(同8.8倍)と競争率が突出して高い。

 文部科学省は、今回の調査結果から「平成12年度(2000年度)以降の採用倍率低下については、大量退職などにともなう採用者数の増加と既卒の受験者数の減少によるところが大きい」と分析。採用者総数をみると、2000年度の1万1,021人が過去最低値で、2023年度の採用者総数は2000年度の約3倍。中でも小学校では2000年度の4倍以上となり、1983年度(昭和58年度)以降、最多となっている。

 今後、文部科学省では意欲ある教師志願者を確保するため引き続き、各教育委員会における教員採用選考試験の改善を促進するとともに、学校における働き方改革のさらなる加速化や処遇改善、学校の指導・運営体制の充実なども含めた教職の魅力向上、教職志願者の増加に向けた施策に取り組んでいくとしている。

《川端珠紀》

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