全国大学高専教職員組合(全大教)は2023年10月20日、政府に対し「国際卓越研究大学の認定審査における大学への過度の干渉をやめるべき」との声明を発表した。政府の審議会が大学の運営体制に具体的に口を出すことは、学問の自由の侵害ともなりかねない問題だと指摘している。
国際卓越研究大学は、10兆円規模の大学ファンドを活用して世界最高水準の研究大学の実現を支援する国の新制度。有識者会議が、申請10校から東京大学・京都大学・東北大学の3校に候補を絞り込み、9月1日、認定候補校に東北大学1校だけを選定した。
全大教は同制度の検討段階から、ファンドからの支援と大学ガバナンス改革とを結び付けず、独立して運営費交付金を充実させることなどが必要と主張。国際卓越研究大学法が成立した2022年5月には声明を発表し、大学ファンド運用益は幅広い大学への支援に活用すべき、大学自治に基づいた研究保障、運営費交付金などの充実を求めていた。
今回の審査については、研究力について明確な指標などでの評価は記載されず、もっぱら組織運営体制の課題が述べられていると指摘。こうした審査体制のもとで、次年度以降の認定を受けるには、政府の審議会が一方的に示す運営体制整備の方向性に沿う形での変革を迫られるものだと批判した。
大学とは「大学を構成する教職員と学生がともに学ぶ場であり、教育と研究の力の源泉はその現場の自主性・自律性」であるとし、国際卓越研究大学の認定審査過程での大学への過度な干渉を止めるよう強く求めている。