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99.9%の学校で校内ネット整備済…直接/集約の差も縮まる

 文部科学省は2023年2月3日、「通信ネットワーク環境の評価(アセスメント)の実施について(依頼)」の通知を発表した。この記事では、「校内通信ネットワーク環境整備等に関する調査」の結果をまとめ、全国の学校におけるネットワーク環境整備の現状を紹介する。

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校内ネットワーク環境の状況
  • 校内ネットワーク環境の状況
  • インターネット環境の現状
  • 直接接続(固定回線)における児童生徒用端末からのインターネット接続速度の実測結果
  • 直接接続(固定回線)における児童生徒1人あたり2Mbpsを確保しようとした場合の同時利用率
  • 集約接続における児童生徒用端末からのインターネット接続速度の実測結果
  • 集約接続における児童生徒1人あたり2Mbpsを確保しようとした場合の同時利用率
  • GIGAを応援!超速Wi-Fiキャンペーン

 文部科学省は2023年2月3日、「通信ネットワーク環境の評価(アセスメント)の実施について(依頼)」を発表。2022年9月に実施した「校内通信ネットワーク環境整備等に関する調査」の結果をもとに、学校における通信ネットワーク環境の評価(アセスメント)を実施することを推奨している。この記事では、「校内通信ネットワーク環境整備等に関する調査」の結果をまとめ、全国の学校におけるネットワーク環境整備の現状を紹介する。

99.9%の学校で校内ネットワークの整備が完了

 調査では、全国の学校における通信ネットワーク環境等の整備状況を尋ねた。2022年9月1日時点で、校内ネットワークの供用開始済みの学校は全体の99.9%、整備中の学校は17校となった。前回調査(2021年5月末時点)から1年3か月かけて1.9ポイント増加し、ほぼすべての学校で、校内ネットワーク環境が整備されていることがわかった。

校内ネットワーク環境の状況(画像出典:文部科学省)

接続方式は「直接接続」が増加

 学校のインターネット接続は、学校から直接インターネットに接続する「直接接続形式」と、ネットワークを教育委員会等のセンターへ集約し、インターネットに接続する「集約接続形式」に分かれる。

 それぞれにメリットとデメリットが存在するが、集約接続形式は通信ネットワークのボトルネック(通信速度の低下を招く要因)となりうる個所が多く、回線がひっ迫することでインターネット接続が不安定になりやすいといえる。実際に前回の調査では、回線速度の実測値を比較すると、集約接続は直接接続と比べて全体的に速度が低くなる傾向が見られた。

 今回の調査結果によれば、直接接続形式が全体に占める割合は自治体等ベースで67.7%(前回比5.3ポイント増)、学校ベースで62.8%(前回比11.9ポイント増)となり、前回調査時以降やや増加していることがわかった。

インターネット環境の現状(画像出典:文部科学省)

 なお、接続方式の選定には、通信速度だけではなく、セキュリティ対策やコスト、事務手続き等、さまざまな要素を考慮する必要がある。文部科学省は調査結果のなかで、さまざまな観点からのメリット・デメリットを踏まえ、どの接続方式を採用するか各自治体において総合的に判断することが重要となる、としている。

通信速度は直接接続、集約接続ともに改善

 調査では、児童生徒用端末からのインターネット接続速度の実測値を集計。各自治体において大・中・小規模の3校を選定し、教室で測定した。

直接接続(固定回線)

 直接接続(固定回線)における通信速度の実測値については、前回調査時から、ダウンロードの速度について、児童生徒数800人以下の中・小規模校では速くなっているが、801人以上の大規模校ではやや遅くなっている傾向が見られた。

直接接続(固定回線)における児童生徒用端末からのインターネット接続速度の実測結果(画像出典:文部科学省)

 また、児童生徒1人あたり2Mbps(テレビ会議ツールによる遠隔授業の実施に必要な通信速度)を確保しようとした場合、児童生徒のうちどれほどの割合が同時にインターネットを利用できるか(同時利用率)について、前回調査時と比べ、同時利用率10%未満の学校の割合は減少し、反対に50%を越える学校の割合は増加した。つまり、より多くの学校で、同時に多くの児童生徒がインターネットを利用できるようになったといえる。

直接接続における児童生徒1人あたり2Mbpsを確保しようとした場合の同時利用率(画像出典:文部科学省)

集約接続

 集約接続形式を採用する学校における通信速度の実測値は、いずれの学校規模においても、ダウンロード・アップロードともにおおむね速くなった。それだけでなく、直接接続における推移と比べて、集約接続における数値の上昇割合は高く、直接接続との差異は縮まっていることがわかる。

集約接続における児童生徒用端末からのインターネット接続速度の実測結果(画像出典:文部科学省)

 児童生徒1人あたり2Mbpsを確保しようとした場合の同時利用率については、直接接続同様、同時利用率10%未満の学校の割合が減少し、50%を越える学校の割合は増加。全体的に改善の傾向が見られた。

集約接続における児童生徒1人あたり2Mbpsを確保しようとした場合の同時利用率(画像出典:文部科学省)

自校の回線速度を計測するには

 学校におけるICT利活用を推進するためには、安定したネットワーク環境を整備することが必要不可欠だが、利用時間帯や校内での同時利用率、利用する教室等の条件で通信速度は変わりうる。

 日々のICT利活用のさまざまなシーンで、実際にどれくらいの通信速度が出ているのか、こまめにチェックすることが、校内ネットワークの環境改善の第一歩だ。

 リシードでは、「学校インターネット回線速度計測」サービスを提供している。利用料は無料で、全国の学校で利用できる。

学校の回線速度を計測する

 現在、ネットワーク環境の優れた学校を表彰する「GIGAを応援!超速Wi-Fiキャンペーン」を開催中。キャンペーン終了後には、計測結果から、上位3校を表彰し、トロフィーや認定ロゴを贈呈する予定だ。また、参加全校に、今後の学校ネットワーク整備に役立つ計測結果の総評レポートや、ネットワーク整備に関する情報を提供する。

 定期的なネットワーク環境のチェックに、ぜひ役立ててほしい。

《編集部》

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