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【クレーム対応Q&A】先生がひいきをする

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第128回のテーマは「先生がひいきをする」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第128回のテーマは「先生がひいきをする」。

春の時期は、まだ信頼関係が
できていないことが多い

 新年度がスタートして半月が経ちました。順調に日々を過ごすことができているでしょうか?この時期は子供たちのようすも徐々に把握ができ、学級での活動も少し軌道に乗り出していることが多いです。スタート時のとても緊張をした状況からは少し脱し、リラックスができる時間も増えてきているのではと思います。

 そういった状況において、学校へ「先生がひいきをしている」との連絡をもらうことがあります。先ほども書いた新しい集団に慣れてきたこととも関連し、子供が「教師がひいきをしている」と感じてしまうような言動を教師がとってしまったというものです。

 一般的には教師は「ひいき」をしようという思いはありません。それでも子供がそのように感じてしまっては良くないでしょう。ありがちなケースは次のような感じです。クラスを機能させていくためには、教師がリーダー的な子供と関わることが多くなります。そういったことを見た他の子供が「自分は先生に大事にされていないような気がする」「先生はひいきをしている」と感じてしまうというものです。

 この時期はまだ教師と子供との信頼関係は確立されていないことが多いです。そういった時期には、教師が意図したものとは違う形で子供に伝わってしまうこともあります。同じようなやりとりがあったとしても、教師と子供の信頼関係が出来上がっている秋から冬の時期であれば、大きなトラブルにならずに済む場合もあります。また、この時期は何か問題が発生した際のフォローもスムーズにできないことが多いです。子供との関係同様、春の時期には保護者との信頼関係もまだできていないことが多いです。本音で話ができなかったり、こちらの思いが伝わらなかったりということが起こり得ます。そういったことが、今回のような苦情のきっかけになります。

常に「全体」を常に意識していくことが大切

 教師も人間です。自分に対して懐いてくる子供を可愛いと感じたり、性格などが何となく自分とは合わないと感じてしまったりする子供もいます。色々な子供がいるので当たり前なのですが、それでも子供が「ひいき」だと感じることがない程度の対応をする必要があります。特に学級担任であったり、授業担当者であったりする期間は、そういったことをしっかりとする必要があるでしょう。

 はじめに書いたように新年度が始まり、少し経った今の時期は教師としても少しほっとしてしまう時期でもあります。クラスや子供が落ち着いているということは良いことなのですが、そういった気持ちの変化が今回のクレームのようなことにも繋がりかねません。常に緊張している必要はないのですが、リラックスをしても譲ってはならない部分があります。

 関わりがラフになりすぎて、暴力的になってしまうことなどがそれに当たります。「ひいき」も同様です。「個」を意識しながらも、常に「全体」を常に意識していくことが大切なのでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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