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新連載【先生の事情とホンネ】新年度、新しく担任するクラスづくりに向けて

 教育現場で日々奮闘されている先生へ。リシードは、現役の小学校教諭である松下隼司氏による新連載「先生の事情とホンネ」を開始する。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞した経験をもち、教育書の執筆も手掛ける松下教諭が、日々どのようなことを考えて子供たちと向き合っているのか。

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 教育現場で日々奮闘されている先生へ。リシードは、現役の小学校教諭である松下隼司氏による新連載「先生の事情とホンネ」を開始する。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞した経験をもち、教育書の執筆も手掛ける松下教諭が、日々どのようなことを考えて子供たちと向き合っているのか。授業や教室運営の工夫を紹介するほか、未来を担う子供たちの教育に携わる「教員」という仕事の魅力も発信していく。

 第1回のテーマは「新年度に向けたクラスづくり」。

新年度、新しく担任するクラスづくりに向けて

 新年度、4月から新しく担任するクラスの子供たちが気持ちよく学校生活を過ごせるように、春休み中に準備していることがあります。

 前年度の担任から子供たちの情報を引き継いだり、授業の準備をしたり、給食当番表や掃除当番表、年間計画を作ったり、教室環境を整えたりと、やることがたくさんあります。

 今回は、「教室環境を整える」工夫を紹介します。

子供たちの「机の天板」を確認する

 私が新しく担任する教室に入って確認することがいくつかあります。その中のひとつが、子供たちひとりひとりが使う「子供用机の天板」の状態です。

 子供用机は、子供たちにとって大切な学習環境のひとつです。ですので、

 ・机の天板に穴が開いていないか
 ・机の天板に切れ込みがないか

を1台ずつ確認します。机の天板に穴や切れ込みがあると学習に支障が出てしまいます。テストなど紙を使った学習の際、紙に穴が開いてしまうのです。プリント学習をする際、毎回、下敷きを紙の下に敷くのは大人でも面倒です。穴や切れ込みの場所を避けて、プリント学習に取り組ませるのもかわいそうです。

 その教室を使った前担任が新年度を迎える前に、傷のある机を交換しておくという共通理解がある学校もあれば、そうではない学校もあります。数年前、転勤したばかりの学校で新しく担任する教室に行って、傷がある机ばかりで驚いたことがありました。そのときは机を1台ずつ確認し、最終的に30台以上の机を交換しました。自分の教室と机・椅子の保管倉庫を何度も何度も往復して、腕と足がパンパンになり、筋肉痛になりました…。

天板を交換したあとのようす

名前シールを貼る場所を工夫する(エプロンをかけるフック)

 新年度の教室準備に、子供ひとりひとりの教室のロッカー、給食エプロンをかけるフックに、名前シールを貼るという作業があります。教室のほかに、傘立てにも貼ります。下靴と上履きの二足制の場合は、靴箱にも貼ります。(名前ではなく、出席番号を書くこともあります。)

 下の写真は、給食エプロンをかけるフックに貼ったシールです。優しいピンク色のシールを貼りました。

 この場所にシールを貼ると、遠くからでも自分のフックの場所がわかります。給食エプロンのフックをよく見ると、以前、貼られた名前シールの跡が残っており、フックの上のところにシールを貼っていたことがわかります。しかし、フックの上の部分にシールを貼ると、フックに近寄らないと名前を確認できません。

 週末、子供たちはエプロンを持ち帰って洗います。持ち帰り忘れがないように担任も確認します。フックの上に名前シールを貼っていると、遠くからは誰のエプロンか確認できません。ですから、エプロンをかけるフックは、遠目からでも確認できるように上でなく、正面に貼るのをお勧めします。

名前シールを貼る場所を工夫する(傘立て) 

 下の写真は、クラスごとの傘立てです。出席番号を書いたシールに、「↓」が書いてあるのがわかるでしょうか。

 この「↓」を書かなかった年がありました。自分の出席番号が書いたシールの上か下、どちらに傘を入れたら良いかわからない子供がおり、間違って友達の場所に傘を置いてしまって友達とトラブルになってしまったのです。それ以来、少し手間はかかりますが、出席番号だけでなく「↓」を書いて、傘を置く場所をわかりやすくするようにしています。

椅子の脚カバーで、聴覚刺激を減らす

 教室で椅子を引いたり、入れたりすると、「ギギギー!」という嫌な音がします。1人でも嫌な音が響きますが、クラスに在籍する子供たち30人以上になると、騒音レベルになります。教師の話と重なると、教師の声が子供に届けにくくなります。 

 机や椅子の脚に防音対策で、テニスボールをはめている学校もあります。防音対策をしていない学校では、自分のクラスだけテニスボールを取り寄せて、机や椅子の脚にテニスボールをはめるのは、同僚との同調性・足並みを崩すことになってしまいます。(この考えが日本の教育の課題のひとつかもしれませんが…。)そこで、下の写真ような明な椅子の脚カバーを100円ショップで購入して付けました。

透明な椅子の脚カバー(遠目からはわかりません)

 いろいろなお店で購入した椅子の脚カバーの中で、Seria(セリア)という100円ショップの商品が使いやすいように感じました。カバーの高さが短いと外れやすいのですが、この商品は教室の子供用の椅子の脚の太さにもジャストサイズで、カバーの高さが長いので外れにくかったです。(さらに外れにくくしたい場合は、椅子の脚とカバーをビニールテープで巻くことをお勧めします。)

始業式当日の黒板メッセージを工夫する

 下の写真は、1学期の始業式前日に準備した黒板です。

 新1年生の教室準備で余った掲示物を借りて、貼りました。色画用紙で作られた掲示物で、裏には磁石が付いています。磁石が付いた掲示物なので、黒板に簡単に貼れます。

 以前は、子供たちに人気のアニメや漫画などのキャラクターのイラストをチョークで描いていましたが、チョークで描くよりも色画用紙の掲示物の方がインパクトがありますし、かわいいです。1年生のころを思い出して、新鮮な気持ちにもなれます。チョークで描くよりも時間が短く済みます。

 掲示物を隣のクラスの担任の先生と仲良く分けるのもお忘れなく!

 というわけで、新年度に担任する教室環境を整える工夫を紹介させていただきました。お役に立てれば嬉しいです。


 次回(4月)の「先生の事情とホンネ」のテーマは、「先生の自腹」。テーマにあわせたアンケートも実施している。先生ご自身の体験、率直な意見をお聞かせいただきたい。

アンケート詳細はこちら

《松下隼司》

松下隼司

大阪市公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。教科書編集委員。絵本「せんせいって」「ぼく、わたしのトリセツ」、教育書「教師のしくじり大全」「むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営」などを執筆。小劇場を中心に10年間、演劇活動を行う。Voicyパーソナリティー。

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