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東京都、大学3年も一部受験可能に…教員確保策で新案

 東京都教育委員会は2023年1月12日、教員確保策充実の方向性について公表した。教員採用選考の受験者の減少等により教員確保が課題となる中、応募人員を増やすための新たな策として採用選考試験の一部を大学3年次に前倒しする案等が示されている。

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現状・課題
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  • 現在の取組みと今後の新たな取組み(案)
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 東京都教育委員会は2023年1月12日、教員確保策充実の方向性について公表した。教員採用選考の受験者の減少等により教員確保が課題となる中、応募人員を増やすための新たな策として採用選考試験の一部を大学3年次に前倒しする案等が示されている。

 東京都における教員採用選考(小学校)では、近年、大量退職や35人学級の進行による大量採用により既卒者層が順次合格した結果、受験者数が年々減少を続けている。臨時的任用教員の候補者も減少し、年度途中に欠員が生じた場合の代替教員の確保も難しい状況にあり、2026年度(令和8年度)採用以降は、35人学級の完成等により受験倍率が底を打つ見込み。

 こうした課題の打開策として、これまでの取組みに加え「増やす取組み(応募人員の増加)」「減らさない取組み(教員支援体制の充実)」「外部人材のさらなる活用」の観点から対策を強化し、教員確保策充実の方向性として取りまとめ、発表した。

 増やす取組みにあたる「応募人員の増加」では、2023年度より多様な層が東京の教員を目指しやすい仕組みへと転換を図る。具体的には、採用選考試験の一部を大学3年次に受験可能とすることで採用選考に係る負担を軽減する「大学3年一部前倒し受験」や、民間内定者の受験機会を確保することを目的とした「合格発表の前倒し(現状10月中旬から9月中発表へ)」、社会人特例選考の対象年齢を40歳以上から25歳以上に引き下げる「社会人特例選考の年齢要件緩和」、途中退職をした東京都公立学校教員経験者について、10年以内に復帰する際に一次選考を免除する「カムバック採用の新設」等があげられている。

 また、「減らさない取組み(教員支援体制の充実)」では、新人等へのメンタルヘルスサポートの拡充や、定年退職後の教員による新人サポートの強化、職員室の環境改善等、安心して働ける職場環境に向けたサポートを強化する他、産休・育業代替教員の前倒し任用を検討。国の方針を踏まえながら対応を検討している。

 「外部人材のさらなる活用」については、小中学校1校1名規模のスクール・サポート・スタッフの配置や、小学校の副担任業務を担うエデュケーション・アシスタントの配置開始、副校長補佐の配置等を進める。また、社会の力活用事業の実施の一環として、外国語や体育で専門性の高い人材が授業を行う等、地域人材等の積極的な活用により教員の負担軽減を図りつつ、本来業務に注力できるよう支援する体制を目指す。

 2023年度(令和5年度)東京都公立学校教員採用候補者選考(6年度採用)実施要綱については、3月下旬に発表予定。今回発表した取組案については、現在予算要求中だという。

《畑山望》

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