「学校インターネット回線速度計測」の根幹となっているサービス「RBB SPEED TEST(アールビービー スピードテスト)」を提供するブロードバンド情報サイト「RBB TODAY」の小板謙次編集長に、「RBB SPEED TEST」の特徴や、学校のインターネット回線に求められることを聞いた。
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--「RBB SPEED TEST」の特徴を教えてください。
小板氏:「RBB SPEED TEST」は、今年で20周年を迎えるインターネットスピードテストサービスです。光回線以前のADSL、ISDNが主だった時代から、日本のブロードバンド普及に貢献しようと立ち上げ、今日まで提供してきました。
大きな特徴は、ユーザーがインターネットを利用する際の、実際の回線速度を測ることができるという点です。たとえば、アプリケーションやウェブブラウザのタブをいくつも開いているような状態では、回線速度を含むパフォーマンスは落ちてしまいますが、「RBB SPEED TEST」では、計測時点の環境に即した回線速度を測定することができます。その精度を買われて大手キャリアにも採用されており、国内標準の速度計測サービスとなっています。
またRBB TODAYでは、「RBB SPEED TEST」の計測結果をランキングとして毎月発表しています。ただ測定するだけではなく、データを蓄積することによって、地域や回線事業者ごとの実態を分析することができるので、まさに日本のブロードバンドの発展に寄与してきたと自負しています。
--GIGAスクール構想の推進で、1人1台端末の普及が進むなか、全国の学校からは回線速度に関する不満の声があがり、改善が求められています。文部科学省は「学習系ネットワークにおける通信環境最適化ガイドブック」のなかで、授業でデジタル教科書を利用する場合、端末1台あたりで5.3Mbps、40人のクラスで213Mbpsを目安としています。快適な回線速度について教えてください。
小板氏:まず、現在の家庭用のインターネット環境は、最大1Gbps以上の光回線が多く、最大速度20Gbpsを提供する事業者もあります。一般的にはWi-Fiで200~300Mbpsが出ていれば快適に利用でき、50~60Mbpsでは少し物足りない。スマートフォンのLTE接続でも、電波状況が悪くなければ100Mbps以上の速さで使えます。
学校の利用シーンでは一度に多くの生徒が接続するため、200~300Mbpsというのは厳しいかもしれないですが、100Mbpsは出てほしいというのが理想ですね。子供たちにとっても、それぞれの家庭のWi-Fiでは200~300Mbpsで高速通信ができているのに、学校では5Mbpsしか出ない、というようなギャップのある環境はストレスでしょう。
--「学校インターネット回線速度計測」で測定した結果が悪かった場合、どのような改善策が考えられますか。
小板氏:実際に回線速度を計測してみて、結果が悪かった場合の改善策としては、まず利用しているICT機器でソフトウェアを同時に立ち上げすぎていないか、ブラウザのタブをたくさん開いていないかを確認したり、機器を再起動したりすることです。根本的に解決するには、やはり学校の固定回線・アクセスポイントの性能や設置場所自体を見直し、より良い環境を構築することが必要でしょう。
将来的には1人1台端末にとどまらず、電子黒板等も含めてIoT化が進み、あらゆるものがインターネットにつながった教育環境になっていくのではないかと思います。日本の教育のICT化を進めていくためにも、必要最低限の回線速度で満足するのではなく、未来を見据えて整備していってほしいですね。
小板編集長が語るように、個人や家庭でのインターネットが高速化するなか、学校のインターネット環境だけが取り残されている現状があることは否めない。
リシードでは今後、計測データの分析や関連イベントなど、学校のICT環境整備を応援する取組みを展開予定だ。「学校インターネット回線速度計測」を定期的に実施し、学校の回線環境の把握・改善に役立てていただきたい。
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