矢野経済研究所は、国内のXR(VR/AR/MR)市場を調査し、市場概況と主要企業動向を明らかにした。2024年の国内XRデバイス市場は、メーカー出荷台数ベースで45万6,000台と推計され、法人向けXRコンテンツ市場は売上高ベースで264億6,500万円に達すると見込まれている。
2024年の国内XRデバイス市場では、ヘッドマウントディスプレイの新規製品導入が少なかったため、一般向け製品の需要が頭打ちとなった。一方で、ARスマートグラスは物流分野でのピッキングや現場での遠隔支援を中心に法人需要が堅調であった。
法人向けXRコンテンツ市場では、エンターテイメント産業や製造業を中心に、業務効率向上を目的とした安全教育や研修・トレーニング、技術継承、防災教育等の需要が増加している。特にエンターテイメント産業や製造業向けの受託制作需要が増加している。
今後、XRデバイスはMR(Mixed Reality)への対応が進むと見られ、特に産業分野での活用が期待されている。2030年には、国内XRデバイス市場が87万台に成長し、法人向けXRコンテンツ市場は444億2,200万円に達すると予測されている。
XRデバイスは装着性や製品重量、バッテリー持続時間に課題を抱えるものの、MRへの対応を進めることで、産業分野向けのXRコンテンツ活用の幅が大きく拡がる見通しである。また、XRコンテンツは人材不足の影響を受け、技術継承や安全教育の観点からその有用性が認識されてきている。
これまでXRコンテンツは大企業中心であったが、中小企業への普及に向け、レンタルやサブスクリプションなどの比較的安価なサービス提供の拡充が必要であると考えられている。