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【相談対応Q&A】子供がクラスに馴染めていない

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第81回のテーマは「子供がクラスに馴染めていない」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第81回のテーマは「子供がクラスに馴染めていない」。

GW明けは不適応を起こしやすい


 新しいクラスになり、1か月が経ったゴールデンウィーク(GW)が終わるころは、子供の困っていることが表面に出てくることが多いです。4月は、新しい環境の中で気を張りながら毎日を過ごしています。気を張っているのは、子供はもちろん、大人である教師や保護者も同様です。少しずつ慣れることの良い面もあるのですが、悪い面もあります。慣れ等のよって人との関わり方が少し雑な感じになってしまうこと等です。そういったことがきっかけとなり、子供の困り感が高まることが見られます。

 親から「子供がクラスに馴染むことができず、困っているようだ」という連絡をもらったら、なるべくポジティブに捉えていきたいです。こういった相談(連絡)を受けると「担任のやり方が悪いから困っている」と捉えてしまう教員もいます。親からの言われることに対し、対立のスタンスで臨んでしまう教員です。実際に親がそういった思いを抱いていることもあるのですが、多くの場合は「担任を批判する」ということよりも「困っている子供を助けたい」「親としてできることがあればやりたい」という思いからです。

 この時期にそういった問題が顕在化したことによって、後の大きなトラブルを未然に防ぐことになる可能性があります。親にもそのように伝えると良いでしょう。GW明けの時期は、「五月病」という言葉もあるように、大人でも子供でも不適応を起こしやすい時期です。肉体的にも精神的にも疲れが溜まりやすい時期です。早めに、丁寧に対応していきたいです。

何が原因となっているのかを整理する


 対応の際は、困っていることは何であるのかということを整理していくと良いでしょう。子供は「困っている」「不安がある」「馴染めていない」という思いは抱いているのですが、その原因は何であるのかは明確に把握できていないこともあります。教師が関わり、色々と話を聞く中で、何が原因となっているのかを整理することをしていきたいです。原因は1つであることもありますが、2つ以上であることもあります。子供が感じていることに加え、教師がクラスの中で見ていて感じていること等も交え、状況分析をしていくと良いでしょう。

 そういった状況分析を踏まえ、今後、どのように行動していくのかの方向性が見えるようにしたいです。取り組む事柄が、具体的ではっきりとしてくると子供も取り組みやすくなります。そういった小さな目標(スモールステップ)を設定し、クリアーしていく中で、子供の気持ちが前向きになってくることがよくあります。必要に応じて、親にも協力を求め、子供が前向きに過ごすことができることを目指します。子供とも親とも定期的に情報交換を行い、微修正をしていくと良いでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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