学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第217回のテーマは「宗教上の配慮や確認をしてほしい」。
外国につながる子供の増加
日本中の学校で外国につながる子供が増えてきています。現在の日本の社会の仕組みでは、正式な移民のような形は取られていませんが、さまざまな形で外国の人たちが住むようになっています。私は普段、東京都中野区にある大学で教えています。中野周辺では多くのコンビニなどで外国人がレジを担当しています。以前勤めていた小学校のある自治体でもエリアによっては外国につながる子供が全校児童の3割位になる小学校がありました。全校児童生徒の3分の1となるとかなり多いという印象ですが、日本中の多くの学校で少しずつ増えているのではないかと思います。
そういった中で問題となることの一つが「宗教」に関することです。たとえば、イスラム教の関係で給食を食べることができない、修学旅行の際に神社の中に入ることができないなどです。以前からもそういったことがなかったわけではないのですが、このところそういったケースが増えてきている印象です。
宗教などにも関することについて、学校は「決まっているから」などの言い方で強制するようなことはできないでしょう。日本国憲法でも「信教の自由」が認められています。今後、日本においては労働力の問題などもあり、外国人が増えてくることが予想されます。それぞれの宗教によって配慮する内容は違いますが、それぞれのケースにおいて適切に関わっていく必要があるでしょう。
ただ難しいものが宗教への配慮と言い切れないような微妙なものについての対応です。たとえば、私が以前担任していた子供は耳にピアスをしていました。その子供はペルー出身の日系人です。親が日本に働きに来て、日本において生まれた子供です。その家族は皆、耳にピアスを付けていました。生まれてすぐに耳に穴を開け、ピアスを付けたとのことでした。魔除けのような役割だそうです。その家族やその周りの人たちにとっては当たり前のことだとのことでした。実際の問題として、一般的に「学校にはアクセサリーなどは付けて来ない」というルールがあります。アクセサリーとは「指輪」「ピアス」「ネックレス」などを指しています。このルールを厳密に当てはめると、その子供には「ピアスを取るように」と指導することになります。ただ親から「私たちの国では当たり前の習慣です」「魔除けなのに、取った後、何かトラブルがあったら困ります」などと言われたら、学校としては悩むこととなります。結局、その時は管理職なども含めて相談をして、そのピアスを外させることは良くない(ピアスを付けていて良い)ということになりました。
多文化理解の促進へ
日本の社会が多様になってくることで、社会の縮図である学校も多様になってきています。上記の例のようなことが起こってくることが予想されます。方向性としては、学校が厳しく管理し、ルールを統一していくようなやり方では不適切なのだと思います。学びにおける「個別最適な学び」などに近いものでしょう。それぞれの子供(家族)の状況を考え、それに合わせたやり方をしていくのです。その際、周りへのケアが大事になります。先程のピアスの件では、クラスの子供に魔除けの意味があることなどを伝えていきました。こういうことがきっかけとなって多文化理解が進んでいくと良いです。
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