ベネッセコーポレーションは東京都品川区の協力のもと、区内公立小学校・義務教育学校11校にて子供の読み書きの発達特性に配慮したICT学習を活用した実証試験を実施。その結果、集団全体の読み書きスキルが向上し、底上げ効果がみられたという。 読み書きの発達特性に配慮したICT学習を活用した実証試験は、2021年9月2日~12月24日にかけて品川区内の公立小学校・義務教育学校37校中11校を対象に実施。対象児童は、2年生通常級8校675名、1~4年生特別支援教室10校163名、1~4年生特別支援学級3校69名。読み書きに関する困りのチェックテストの一斉実施(1回目)を行なった後、ベネッセが開発した発達障害児や読み書きに困りを抱える児童向け学習アプリを各小学校と各家庭で任意に利用してもらい、そのうち「A小学校」児童約90人が4か月後に2回目テストを受けた。 ベネッセは、1回目テストと2回目テストの得点がどのように変化したかを比較。今回用いたICT学習アプリの監修を務めた尚絅学院大学・小池敏英教授と共に結果をとりまとめて発表した。 チェックテストの一斉実施(1回目テスト)と2回目テストのどちらも実施した「A小学校」の2年生通常級の得点に応じた成績状況を見ると、「5パーセンタイル層」は1回目20.7%から2回目8.1%へ、「5~15パーセンタイル層」は1回目21.8%から2回目10.5%へ、「15~50パーセンタイル層」が31.0%から25.6%へ、それぞれ減少。特に困りが大きいと思われる15パーセンタイル層付近の低成績層の減少が顕著にみられ、集団全体の読み書きスキルが確認された。 また、全学級で低成績児童含有率が減り、読み書きスキルの底上げ効果が見られたという。4か月間学習アプリを活用した一部学校の教員から任意で回収したアンケートでは、76%が学習アプリが指導および支援の質向上に寄与したと思う、と回答。88%は通常級での指導においても効果的だと思うと回答し、児童の学習意欲向上、他校への推奨意向、特別支援にとどまらない指導の有効性といった点で、効果を実感していた。 ベネッセでは、品川区やその他の自治体の協力を得ながら、さらなる機能改善を目指すとしている。また、読み書きの発達特性に配慮した児童向け学習アプリ「MARUG Land(マルグランド)」の2023年度有償導入を見据えたモニターも募集中。提供教材は小1~小4の範囲の「読み」「書き」「読解」で、モニター期間は4月~7月末を想定(要相談)。対象児童は、通常級、通級指導教室、特別支援学級在籍の1~3年生。モニターは1自治体あたり1~2校を想定しており、各校ではなく教育委員会からのメールにて相談を受け付ける。