通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒について、実態や支援状況を明らかにするため、文部科学省は2022年1~2月、調査の実施を計画している。全国の公立小中高校から対象校を抽出して集計・分析。2022年12月ごろまでに結果を公表予定としている。 2021年10月5日開催の「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」有識者会議において、実施計画案が公表された。 発達障害等の児童生徒は、全国のほとんどの小中学校に在籍している実態にある。全国連合小学校長会の2020年度全国調査によると、小学校753校のうち、97.1%にあたる731校において、通常の学級に発達障害の診断のある児童またはその疑いのある児童が在籍。全日本中学校長会が2020年9月6日~23日に実施した「特別支援教育推進上の課題への対応に関する調査」においても、中学校542校の88.9%において、通常の学級に発達障害の生徒が在籍していることが判明している。 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査は、文部科学省が2012年2月~3月に全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立小中学校において、5万3,882人を対象に実施。通常の学級に在籍する児童生徒の6.5%が、知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示し、発達障害の可能性があるとされた。 新たに実施する調査は、2012年時と同様に層化三段確率比例抽出法を採用。全国の公立の小中高校からそれぞれ600校を抽出し、小中学校では各学年10人(男女5人)、高校では各学年20人(男女10人)を抽出して実施する。 質問項目には、調査対象の学級担任等が記入し、特別支援教育コーディネーターまたは教頭(副校長)のいずれかによる確認の後、校長の了解のもとで回答する。学級担任が判断に迷う場合には、校内委員会や教務主任等に相談可能とする。 12月に都道府県教育委員会、市区町村教育委員会、調査対象校に協力を依頼する事務連絡を発出。2022年1~2月に調査を実施し、12月ごろまでに集計・分析して結果を公表する予定。 有識者会議では、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒の実態と支援の状況を明らかにすることで、今後の施策の在り方等を検討する基礎資料にしたい考えだ。