教育業界ニュース

ベネッセ、高校向け「グロースナビ」提供へ…探究・進路・教科を連携

 ベネッセコーポレーションは2025年10月31日、高校向けの領域横断型デジタルサービス「グロースナビ」を2026年4月より全国で提供開始すると発表した。探究・進路・教科の3領域を連携し、生徒の学習データを可視化・蓄積することで個別最適な指導を実現するとともに、教員の負荷軽減を図る。

教材・サービス 授業
高校向けの領域横断型デジタルサービス「グロースナビ」
  • 高校向けの領域横断型デジタルサービス「グロースナビ」
  • 生徒向けコンテンツ
  • 教員向けコンテンツ概

 ベネッセコーポレーションは2025年10月31日、高校向けの領域横断型デジタルサービス「グロースナビ」を2026年4月より全国で提供開始すると発表した。探究・進路・教科の3領域を連携し、生徒の学習データを可視化・蓄積することで個別最適な指導を実現するとともに、教員の負荷軽減を図る。

 高校向けの領域横断型デジタルサービス「グロースナビ」は、ベネッセの「探究」「進路」「教科」に関する各種教材・サービスを活用できる生徒・教員向けオールインワン・プラットフォーム。従来は結び付きにくかった3領域を連携させながら、生徒の取組み状況を可視化・蓄積し、個別最適な学びのコンテンツを活用した指導を可能にする。

 企画の背景には、生徒の学習や進路に対する価値観の多様化がある。高校では生徒が主体的に学びに向かうためのモチベーション醸成のため、教員によるより個別最適なアプローチや成功体験をともなう伴走が必要となっている。一方で、文部科学省は2025年9月に教員の働き方改革を促す新指針を公表し、「時間外在校等時間を月45時間以下にする教職員を100%とする」との数値目標も掲げている。

 ベネッセでは高校教員の業務分析を行った結果、デジタルを活用することで負荷を削減できる業務が多くあることがわかった。しかし、ICT教材がさまざまあることで、活用サービスやデータ連携、教員間のノウハウもバラバラになっていることから、統合的なサービスの活用で現状を改善し、持続可能な指導環境を構築することへの関心が高まると考え、今回のサービス開発に至ったという。

 生徒に対しては、個々が主体的に学ぶことを支援するデジタル教材等のパッケージを提供する。個人の関心に応じた「探究」プログラムで生徒の興味関心を引き出し、「進研模試」をはじめとしたアセスメント・教材・進路情報による目標設定を支援。その目標に応じた学習のため、通信講座「進研ゼミ」素材を活用した自学自習用教科学習コンテンツや、CBT形式のテストなど、個別最適化した教材を提供する。

 探究領域では、基礎力育成ワーク(ニュースピックアップ、系統別テーマ学習、語彙・読解力ドリル)、探究の課題設定支援(探究相談チャット、探究フィードバック)、授業パッケージ(各授業をパッケージ化し、教員向けのナビゲーションも提供)を用意する。

 進路領域では、お勧め学校レコメンド(興味・関心に基づく進路先を知り、志望校の選択肢を広げる機能)、一般入試対策(志望校パック)、年内入試対策(小論文・志望理由書の書き方、小論文・志望理由書添削課題、面接1on1トレーニング、志望理由壁打ちルーム)、就職試験対策(適性・国語・数学などのドリル)を提供する。

 教科領域では、教科学習コンテンツ(進研ゼミのコンテンツを利用したパーソナライズドラーニング)、定期テストパック(学校で使っている教科書を元にした範囲設定が可能)、基礎力育成ワーク(教科の土台となる語彙や読解力のワーク)を用意。テストでは、到達度型テスト(新たに開発したCBT形式の教科テスト、出題は国語・数学・英語に対応)、実用スキル診断(就職・専門学校希望者の多い学校向けのCBT形式実用スキルテスト)を提供する。

 一方、教員に対しては、生徒のより深い「見取り」と、生徒への最適な声かけを生かした対話を可能にする環境づくりをサポートする。生徒たちの学習データを蓄積した先生用画面で1人の生徒の学びのプロセスと結果を統合的に見取ることを可能にするほか、指導準備の事務的な負荷を減らすことを狙ったAIを活用したサポート機能を提供する。

 具体的には、学内外の活動・進路探究などの振り返りを蓄積できる「ポートフォリオ機能」や、記載されたポートフォリオ等の結果から指導要録の総合所見欄を自動生成する「要録自動生成機能」(2026年度中に実装予定)を提供。授業パッケージ・三者面談資料への情報出力も行う。

 先生用「生徒カルテ」には、グロースナビテスト結果・学習履歴・指導メモを一元管理し、生徒の見取り支援を強化する。

 同サービスはクラウド型Webサービス(シングルサインオン対応)として提供され、高校からの問い合わせは「Benesse High School Online」(ベネッセの高校教員専用サイト)にて受け付ける。

 ベネッセは同サービスの提供により、生徒が学びを「じぶんごと化」し、将来を見据えた学びへの意欲を醸成できるような学習環境を提供するとともに、教員が指導の負荷を抑制しつつ的確な声がけができるよう、高校を支援していく。

《風巻塔子》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top