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公民・家庭科教員「損害保険に関する教育必要」8割超

 高等学校の公民科・家庭科教員の約9割が「生活におけるリスク」に関する教育が「必要」、8割以上が「損害保険」に関する教育が「必要」と回答したことが、日本損害保険協会が行った調査より明らかになった。一方で、「損害保険」教育の実施状況は約2割にとどまっている。

教材・サービス 授業
「生活におけるリスク」に関する教育の実施有無
  • 「生活におけるリスク」に関する教育の実施有無
  • 「生活におけるリスク」に関する授業の内容における生徒の関心度
  • 「生活におけるリスク」に関する教育についての必要性
  • 今後の「生活におけるリスク」に関する教育の浸透に向けての重要な取組み
  • 「損害保険」に関する教育の実施有無
  • 「損害保険」に関する授業の内容における生徒の関心度
  • 「損害保険」に関する授業を実施する際の課題
  • 学校で「損害保険」に関する教育を行うことの必要性
 高等学校の公民科・家庭科教員の約9割が「生活におけるリスク」に関する教育が「必要」、8割以上が「損害保険」に関する教育が「必要」と回答したことが、日本損害保険協会が行った調査より明らかになった。一方で、「損害保険」に関する教育の実施状況は約2割にとどまっている。

 2018年(平成30年)に告示された高等学校学習指導要領解説では、生活上のリスクに対する備えや自助等の観点から、「公共」や「家庭」の授業で「民間保険」について触れることが示された。2022年4月より成年年齢が18歳に引き下げられ、高校在学中であっても親権者の同意を得ずに契約することが可能となることから、生活におけるリスクに関する教育の必要性が課題となっている。

 日本損害保険協会は、全国の高等学校の公民科・家庭科教員を対象に「生活におけるリスク」および損害保険の教育に関する調査を実施。調査期間は2021年9月27日~10月25日。公民科700件、家庭科936件、計1,629件の有効回答を得た。

 「生活におけるリスク」に関する教育の必要性について、全体の39.8%が「必要」、55.0%が「ある程度必要」と回答。あわせて94.8%が高等学校での教育の必要性を感じているという結果に。一方で、「生活におけるリスク」教育の実施状況は全体の52.8%にとどまった。

 「生活におけるリスク」教育を実施した際の生徒の関心度については、「大変関心を持っていた」4.4%、「ある程度関心を持っていた」65.1%となり、およそ7割が関心を持っていることがわかる。今後の授業を実施する際に課題となる点については、「授業時間数が足りない」45.8%がもっとも多く、ついで「教員の知識が不足している」43.4%、「教えるための副教材・ツールがない」39.6%と続いた。

 「損害保険」に関する教育の必要性については、全体の19.0%が「必要」、64.8%が「ある程度必要」と回答。8割以上の教員が「損害保険」の必要性を感じていた。一方、実際に「損害保険」に関する教育を実施している割合は23.4%にとどまり、実施率の低さが浮き彫りとなった。

 「損害保険」に関する教育についても、実施校の70.2%の生徒が「(大変+ある程度)関心を持っていた」との結果が出ており、実際に高校生が知りたい内容であることがわかる。損害保険に関する教育を実施するうえで教科書に十分な内容が記載されているかとの問いでは、「どちらかと言えば不十分」66.4%、「不十分」11.2%となっており、今後実施率を高めていくにあたり、「副教材・ツールの充実」や「教科書の記載内容の充実」を求める声が多くあがった。

 日本損害保険協会は、高校生のうちに身の回りのリスクや保険の仕組み・必要性を理解し、18歳を迎えて契約の当事者になったときに自ら保険商品を選択できるような損害保険リテラシーを修得することは消費者教育の観点からも重要だと解説。調査結果をもとに、教員に対してより役立つ情報や教育ツールを提供していくとしている。調査結果の詳細はWebサイトからみることができる。
《畑山望》

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