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東京都のいじめ、前年比2万2,041件減少…不登校は増加傾向

 東京都教育委員会は2021年10月13日、「2020年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公開した。いじめの認知件数は、前年度より2万2,041件減の4万2,538件で、すべての校種で減少。一方、小中学校における不登校児童生徒は増加している。

教育行政 教育委員会
「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について
  • 「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について
  • 暴力行為の状況(1)発生件数
  • いじめの状況(1)「認知件数」と「解消しているものの割合」
  • 小・中学校における長期欠席の状況(1)長期欠席児童・生徒数
 東京都教育委員会は2021年10月13日、「2020年(令和2年)度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公開した。いじめの認知件数は、前年度より2万2,041件減の4万2,538件となり、すべての校種で減少した。一方、小中学校における不登校児童生徒は増加している。

 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」は、児童生徒の問題行動や不登校等について都内全公立学校の状況を分析し、実態把握を行うことで、今後の児童生徒の問題行動等の未然防止や早期発見等に係る施策推進に役立てるべく毎年実施しているもの。東京都の調査対象は、都内公立小学校1,275校、中学校623校、高校191校、特別支援学校61校。それぞれ義務教育学校や中等教育学校の対象課程を含む。全国の都道府県分をまとめたものは文部科学省が毎年発表している。

 小・中・高校における暴力行為の発生件数は1,784件で、前年度より571件減少。学校別では、小学校が前年度比110件減の930件、中学校が前年度比453件減の843件、高校が前年度比8件減の11件。2019年までは中学校における件数がもっとも多かったが、2020年は初めて件数・全件に対する割合ともに小学校がもっとも多くなり、暴力行為の低年齢化が顕著に現れている。

 小・中・高校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は、前年度比2万2,041件減の4万2,538件。2015年度から2019年まで全校種で増加傾向が続いていたが、2020年は全校種で減少に転じ、前年度の66%まで減少した。学校別では、小学校が前年度比1万9,043件減の3万8,384件、中学校が前年度比2,878件減の4,090件、高校が前年度比99件減の48件、特別支援学校が前年度比21件減の16件。小学校での認知件数がもっとも多く、全体の9割を占めた。

 学年別にみると、「小1」がもっとも多く8,638件。以降、学年が上がるにつれ減少しており、「小6」では3,868件、「中3」では574件となっている。いじめを認知した学校数は、2,195校で前年度より5校減少。全学校数に占める割合は79.4%。いじめの現在の状況で「解消しているもの(日常的に観察継続中)」は77.0%となり、解消している割合は前年の84.1%より低い割合となった。いじめ発見のきっかけは、小中学校では「アンケート調査等」がもっとも多く、高校では「本人からの訴え」が多い結果となった。

 いじめの態様は、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が全校種ともに6割を超え最多。ついで、小中学校と特別支援学校では「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」、高校では「仲間はずれ、集団による無視をされる」となった。また、高校では「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」も22.9%と高い割合でみられた。

 小中学校における長期欠席者数は、前年度比5,144人増の2万7,562人。このうち、不登校児童生徒数は小学校6,317人、中学校1万1,371人、計1万7,688人となり、ともに前年度より増加した。また、新型コロナウイルス回避による長期欠席者数は、小学校で2,645人、中学校で615人、計3,260人であった。

 高校における長期欠席者数は6,916人で、前年度と比べ全日制で増加し、定時制で減少した。その内、全日制の不登校は899人、新型コロナウイルス回避は752人であった。中途退学者数は1,505人で、前年度と比べ全日制では354人減少、定時制では306人減少した。
《畑山望》

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