帝国データバンクは2026年1月4日、学習塾の倒産発生状況についての調査結果を発表した。2025年に発生した倒産は46件で、前年の40件を上回り過去最多を更新。中小塾の4割が赤字経営という状況が明らかになった。
「学習塾の倒産動向(2025年、速報)」は、2025年12月26日までの速報値。負債1,000万円以上の、法的整理による倒産を集計対象としている。
調査結果によると、2025年に発生した倒産は46件で、前年の40件を上回って過去最多を更新した。倒産した学習塾のうち、約9割が資本金1,000万円未満の小規模経営だった一方、地域で一定のシェアをもつ中堅塾の倒産もみられた。
学習塾経営では、特に中小塾ほど物価高と授業料の値上げ難に苦しんだという。最低賃金の大幅な引き上げに加え、効率性を重視する「タイパ」志向の大学生が、予習や授業外業務負担の大きい塾講師を敬遠する動きが目立ち、講師を確保するための求人費や人件費が高騰。さらに、都市部ではテナント料の上昇、全国的な電気代高騰が固定費を押しあげ、収益を圧迫した。
生徒募集の面でも、従来の折込チラシによる募集から、SNS運用やリスティング広告などデジタル化への移行が必須となり、生徒を獲得するための費用も「数年前の2倍まで跳ねあがった」という声もあるという。
このような状況下においても、中学・高校受験を中心としたアッパー層をターゲットにする大手塾は、ブランド力を背景に、高額な季節講習やオプション講座の追加、さらにはAI教材のシステム利用料やアプリ手数料などでコスト増を吸収し、大幅な増益となった企業もみられた。しかし、地域密着型の補習塾や中堅の個別指導塾は、物価高に苦しむ一般家庭の「習い事の選別」の対象となって生徒数が減少。授業料の値上げも難しく、売上高は維持できても利益が出ない「赤字の常態化」に直面しているとみられる。2024年度の業績をみると、売上50億円以上の大手塾では減益を含め9割超が黒字を確保した一方、売上5億円未満の中小塾では約4割が赤字となるなど、利益面の二極化が進んでいる。
小規模塾の中には、生徒のメンタルケアやモチベーション管理といった、大手では対応しきれない「超・個別最適化」を武器に生き残りを図るようすも散見される。しかし、膨大な入試データとICT投資で攻勢を強める大手塾が、安価な「AI自立学習コース」などを新設して中堅校を狙う層や補習層の取り込みを図っており、「難関校は大手、補習は地元」という従来の棲み分けが崩壊しつつあるという。
また、適性検査をはじめとする学科試験以外の入試も広がっており、「学力向上」だけでは生き残りが難しくなっていることから、帝国データバンクは、独自の付加価値を見出せない塾の淘汰が2026年にかけてさらに加速すると予想した。








