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休校時の教育委員会対応、地域や保護者の階層差が影響

 新型コロナウイルス感染症による休校時の教育委員会の対応は、内容に強弱や地域差があることが、文部科学省委託調査の速報結果から明らかになった。背景には、地域の大卒割合、教育に対する保護者の関心・関与の階層差が影響している可能性があるという。

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地域別の教委対応状況
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  • 地域大卒比率別の教委対応状況
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  • 保護者の対応の階層差・学校差
 新型コロナウイルス感染症による休校時の教育委員会の対応は、内容に強弱や地域差があることが、文部科学省委託調査の速報結果から明らかになった。背景には、地域の大卒割合、教育に対する保護者の関心・関与の階層差が影響している可能性があるという。

 調査は、文部科学省の委託を受けて、浜銀総合研究所が実施した。調査対象は、全国の教育委員会、小中学校(義務教育学校を含む)、児童生徒、保護者。2021年7月8日開催の第131回中央教育審議会初等中等教育分科会において、東京大学大学院の中村高康教授、早稲田大学の松岡亮二准教授、オックスフォード大学の苅谷剛彦教授が調査結果(速報値)を公表した。

 休業期間中、域内の学校に在籍する児童生徒の学習を充実させるため、教育委員会が主導的な役割を果たしたものは、紙媒体活用、教育委員会独自の対応、ICT活用と、内容に強弱があった。また、「教育委員会が独自に学習動画を作成し、配信」は中部31.1%、九州8.8%、「同時双方型オンライン指導を通じた家庭学習」は関東12.0%、中国3.2%等、地域によって大きな差もみられた。

 2010年国勢調査データをもとに地域の大卒比率別に教育委員会の対応状況を分析した結果では、大卒比率の高い地域の教育委員会のほうがさまざまな取組みを積極的に行っている傾向にあった。感染状況が同じ程度のエリア内で比べても、大卒比率の高い地域の教育委員会ほど対応している割合が高かった

 研究チームでは、「大卒比率の高い地域・自治体においては、当該地域の保護者の高い教育への関心・関与に教育委員会の対応が影響を受けている可能性がある」と仮説。さらに小学校保護者調査のデータから、教育への関心・関与の学校間格差を調べた。

 その結果、休校期間中の子供への対応として、「何を学んでいるかを聞いた」「学習スケジュールを立てるのを手伝った」「オンラインで学習教材を使えるようにした」について「よくあった」と回答した保護者の割合は、両親大卒割合が高い学校ほど高かった。

 また、休校期間中に「子供と学校の勉強のことについて話をしていた」「計画的に勉強するよう子供に促していた」「子供に読書を勧めていた」について「いつもしていた」と回答した保護者の割合も、両親大卒割合が高い学校ほど高く、相関がみられた。

 さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて生活が苦しくなっている程度も親の学歴によって異なる状況にあった。「まったく苦しくなっていない」と回答した割合は、「親大卒2人」38.4%、「親大卒1人」26.2%、「親大卒0人」17.5%と差があった。

 今回の結果報告では、教育委員会調査と保護者調査について、98%の児童が公立校に通う小学校に関するデータを用いている。研究チームでは、調査結果を受けて「公立中心の小学校でも、コロナに限らずさまざまな面で社会経済的格差に留意が必要」と助言し、中学校についても同様であると指摘している。「保護者の関心・関与(ニーズ)に合わせて『できるところからやる』対応は、社会的に恵まれた地域を結果的に優先することになる可能性がある点に留意が必要」とも述べている。

 調査結果は今後、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)をはじめとした各種調査データとも接続。より多角的な分析も予定している。
《奥山直美》

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