学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第215回のテーマは「学級閉鎖を早く伝えてほしい」。
学級閉鎖による影響
学校では、コロナやインフルエンザなどの伝染性の病気による学級閉鎖(学年閉鎖、学校閉鎖、休校も含む)が発生します。コロナの流行以前は主としてインフルエンザの流行による学級閉鎖が多かったです。その後、コロナの流行によりインフルエンザに加え、コロナを原因とする学級閉鎖も一般的となっています。
学級閉鎖などになると親はさまざまな対応が必要となります。2020年の春、急に日本中の学校が休校になった際は、本当に大混乱でした。未知のウイルスへの対応だったので、教員も親も何が正解なのかがわからない中でさまざまな対応をしていきました。たくさんの苦労もあったのですが、あの日々から学んだことも多かったのだと思います。
ところで、伝染性の病気が原因での学級閉鎖などの場合、その時期は学童では受け付けてくれないことが多いです。病気の広がりを懸念してのことです。そういったことと関連し、親はいつもとは違う対応が求められます。近くに祖父母など、すぐに対応してもらえる人がいる人ばかりではありません。親が仕事を休むなどの対応が必要となる家庭も少なくないでしょう。コロナの流行以降、仕事におけるオンラインの割合が増えました。オンライン会議なども一般的になりました。在宅勤務なども増えたことで、コロナ以前より親にとっては少しは状況が良くなったと言えるかも知れません。そうだとしても、仕事のやり方やスケジュールなどを変更する必要もあり、そのための対応が必要となります。そういったことは、自分だけに関係することではなく、関係する人たちとの調整が必要となります。
オンラインツールで素早く連絡可能に
そういったことを踏まえると、学級閉鎖が決まったら、学校はできるだけ早く、メールなどで保護者に向けて連絡をすることが求められます。私が小学校の教員として勤務していたころは、学級閉鎖の連絡を「プリント」と「緊急連絡網」でしていたように記憶しています。伝えることに時間も手間もかかりました。そのころと比べると今はメールなどのオンラインツールを適切に使用することで素早く親へ学級閉鎖の連絡を伝えることができます。
学級閉鎖ではなくオンライン授業に
また、今回のことと関連して、インフルエンザやコロナなどの病気だけでなく、台風、大雪などの際の休校の対応についても考えてみると良いと思います。学びの継続という点から、学校を休みにする「休校・学級閉鎖」ではなく「オンライン授業」にしていくと良いのではと私は常々思っています。状況によって、フルでのオンラインが難しい場合でも、一部だけでもやることにはとても意味があると思います。たとえば、朝の会と帰りの会をZoomなどを用いて取り組むだけでも効果があります。この2つの会をするだけでも子どもの生活リズムを整えることに繋がります。オンライン授業を授業時数としてカウントしようとするといくつかの制約が出てくるのだと思います。時数としてカウントしない形でも、できる形でオンライン授業に取り組んでいくことは良いことだと思います。
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