文部科学省は2021年8月27日、学校で児童生徒や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインを策定し、全国の教育委員会等に通知した。学級内で感染が広がっている可能性が高い場合は、5~7日程度を目安に学級閉鎖を実施するとした。 「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン」は、特に緊急事態宣言対象地域等に指定された状況下では、保健所の業務のひっ迫により濃厚接触者の特定等の調査に遅延の恐れがあることから、学校における濃厚接触者等の特定や臨時休業の判断等にあたっての考え方を取りまとめたもの。文部科学省は8月27日に全国の学校設置者に通知し、地域の感染状況等に応じた対応の参考にしてほしいとしている。 通知では、幼稚園の臨時休業を行う場合は、幼稚園は1人で家にいることができない年齢の幼児が利用していることを踏まえ、感染拡大防止のための万全の対策を講じたうえで、出席停止等の対象となっていない幼児に預かり保育の提供を縮小して実施する等、居場所の確保に向けた取組みを検討するよう要請。学校が濃厚接触者等の候補者リストを作成・提示する場合は、児童生徒等のプライバシーや特定の教職員にのみ過度な負担がかからないよう配慮すること等も求めている。 学校で感染者が確認された場合の対応については、感染した児童生徒等は出席停止の措置をとり、感染者が教職員である場合は、病気休暇等の取得や在宅勤務、職務専念義務の免除等により出勤させないようにする。児童生徒等や教職員が濃厚接触者と判定された場合も同様の措置をとる。 児童生徒等や教職員の感染が判明した場合の濃厚接触者等の特定等のための調査は通常、保健所が行うが、緊急事態宣言対象地域やまん延防止等重点措置区域において、学校は校内の濃厚接触者等の候補者リスト作成への協力が必要な場合がある。ガイドラインでは、学校や教育委員会等は保健福祉部局その他関係機関と、事前に保健所との協力体制について可能な限り相談してほしいとし、濃厚接触者等の候補の考え方についても具体的に示している。 臨時休業の範囲や条件の例には、「濃厚接触者の特定およびその検査結果が判明し全体像が把握できるまでの期間、および校舎内の清掃消毒等に関する期間(全体としておおむね数日~1週間程度)、臨時休業を行うことが考えられる」と記載。ただし、ばく露から症状発症まで最大14日、多くは5日と長く、すでに感染が顕在化した時点で臨時休業を行ったとしても感染拡大がさらに広がる可能性があることも留意してほしいとしている。 学級閉鎖は、学級内で感染が広がっている可能性が高い場合に5~7日程度を目安に実施する。判断基準には、「同一の学級において複数の児童生徒等の感染が判明した」「感染が確認された者が1名であっても、周囲に未診断の風邪等の症状を有する者が複数いる」「1名の感染者が判明し、複数の濃厚接触者が存在する」等を例示している。 学年閉鎖は複数の学級を閉鎖する等、学年内で感染が広がっている可能性が高い場合、学校全体の臨時休業は複数の学年を閉鎖する等、学校内で感染が広がっている可能性が高い場合に実施する。学校内で感染者が判明した場合の流れについては、参考資料として「児童生徒等または教職員の感染が判明した場合のフロー」も添付している。 学校で感染者が発生した場合、学校の全部または一部の臨時休業を行う必要性については、通常、保健所の調査や学校医の助言等を踏まえて学校の設置者が判断するが、緊急事態宣言対象地域やまん延防止等重点措置区域では臨時休業を行う範囲や条件を事前に検討し、公表しておくことが適切としている。 なお、ガイドラインは地域に基準がない場合、またはあらためて学校設置者と保健所が学校で感染者が発生した場合の対応を協議する場合等に役立ててもらうことを想定している。すでに地域に同様の基準がある場合は、それによってもらって構わないという。