リシードは、教員を対象に「【緊急調査】先生のワクチン接種状況と夏休み明けの対応」を実施した。「夏休み明けの授業形態」「先生方のワクチン接種状況」に加え「東京パラリンピックの学校連携観戦」に対する考えも聞いた。
夏休み明けオンライン活用希望は22%
「夏休み明けの授業形態」については、「通常授業」が53%でもっとも多く、オンラインと通常授業や分散登校等の「ハイブリッド」が14%でこれに続く。「休校」と回答した教員は10%だった。
ハイブリッドも含み「オンライン」と回答した教員は22%で、GIGAスクール構想で配備された学習者用情報端末の活用が、少しずつ進んでいるようすがうかがえる。一方で、「オンラインはシステムが整っていないのでできない」「1人1台端末は実現できていないレベル」といったコメントも見受けられた。
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教員のワクチン接種率は全国平均を上回る
政府が8月24日に発表した新型コロナワクチンの摂取状況によると、国内での2回接種完了者は41.3%となっている(8月23日までの集計で、職域接種に関しては8月15日まで)。「先生方のワクチン接種状況」はどうだろうか。「2回接種済み」は48%で全国平均を上回り、「夏休み中に2回目接種予定」(14%)を加えると6割以上が夏休み明けまでに2回の接種を終える予定であることがわかった。さらに13%が「9月までに2回接種予定」としている。
年代別に見ていくと、20代25%、30代50%、40代59%、50代83%、60代78%が「2回接種済み」もしくは「夏休み中に2回目接種予定」と回答。50代の教員で接種が進んでいることがわかる結果となった。
「接種予定だが時期は未定」「接種予定なし」とした教員の中には「ワクチンの職域接種に申し込むチャンスがあったが、研修等が重なり、申し込まなかった」「接種したくても、予約がとれない」というコメントもあった。ワクチン接種は強制ではなく、本人の意思に基づき実施されるものであるが、希望者全員が接種できる環境の整備が望まれる。
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パラ学校観戦には反対多数
8月24日に開幕した東京パラリンピックでは、競技会場のある東京都、千葉県、埼玉県の3都県の幼稚園や小中高校の子供たちに観戦機会を提供する「学校連携観戦プログラム」が用意されている。感染拡大から辞退が相次いでいるが、観戦リスクと教育価値の観点から、難しい判断が迫られた。本調査では、教員個人の考えとしては「反対」80%、「賛成」10%という結果であった。
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行政主導の対応求める声多数
「学校のコロナ対策」としては、「教員ができることには限界がある」「判断が学校任せになっている。学校間で対応がまちまちで対応に苦慮している」「学校・教育委員会ごとの差異が激しく、混乱させられている」「文科省や教育委員会からは学びの機会の保証の一点張りで、児童生徒の健康を守るという観点がない」等、学校ごとに異なる対応への不安や、行政主導の対応を望む声が目立った。さらに、感染力が高いとされるデルタ株への不安の声も多く、「ワクチン接種を学校も行えるようになると良い」という意見もあった。
調査は、リシード読者を対象に2021年8月20日から25日正午までWeb上で実施し、有効回答数は158人。内訳は20代12人(8%)、30代30人(19%)、40代66人(42%)、50代41人(26%)、60代9人(6%)。小学校が72人(46%)、中学校が47人(30%)、高等学校が39人(25%)だった。