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主権者教育の推進へ向け中間報告、方向性など提言…文科省

 文部科学省は2020年11月2日、中間報告「今後の主権者教育の推進に向けて」を公表した。各学校段階や家庭・地域における主権者教育推進の方向性を提言し、社会総がかりでの国民運動として取組みを展開することが重要としている。最終報告に向けた検討課題もあげている。

教育行政 文部科学省
「今後の主権者教育の推進に向けて(中間報告)」の概要
  • 「今後の主権者教育の推進に向けて(中間報告)」の概要
  • 小学校・中学校での取組の充実について
  • 高等学校、大学等での取組の充実について
  • 学校段階等間や教科等間の連携の充実について
 文部科学省は2020年11月2日、中間報告「今後の主権者教育の推進に向けて」を公表した。各学校段階や家庭・地域における主権者教育推進の方向性を提言し、社会総がかりでの国民運動として取組みを展開することが重要としている。最終報告に向けた検討課題もあげている。

 公職選挙法等の改正により、選挙権年齢が満18歳に引き下げられ、2022年度からは成年年齢が満18歳へ引下げとなる。新学習指導要領のもとで、子どもたちにこれまで以上に主権者として必要な資質・能力を確実に身に付けさせていくことが喫緊の課題となっている。

 主権者教育推進会議では2018年8月から、有識者からのヒアリング、イギリスやドイツへの訪問調査、教育委員会や学校への訪問調査を実施。主権者教育の推進方策について検討を重ね、これまでの議論の状況を中間的に取りまとめた。

 中間報告では、主権者教育推進の背景、経緯と課題を説明し、主権者教育推進会議が収集した好事例を報告。今後の主権者教育推進の方向性として、「各学校段階での主権者教育の充実」「家庭・地域における主権者教育の充実」「主権者教育の充実に向けたメディアリテラシーの育成」の観点から、提言をまとめている。

 このうち、「各学校段階での主権者教育の充実」については、「小学校・中学校」「高等学校、大学等」「学校段階等間や教科等間の連携」に分けて記述。小学校・中学校段階ではモデル校での実践研究や副教材・教師向け指導資料の作成、高等学校では新設された「公共」のもとでの取組みの充実、大学などでは期日前投票や不在者投票の周知の工夫を含めた選挙啓発に向けた取組みなどを取り上げている。

 学校段階等間や教科等間の連携については、「小学校・中学校の社会科における学習と高等学校公民科の必履修科目『公共』における学習との円滑な接続を図ったカリキュラムの開発」「社会科、地理歴史科、公民科や家庭科、特別の教科 道徳、総合的な学習(探究)の時間や特別活動(学級・ホームルーム活動、児童会・生徒会活動、学校行事等)それぞれの特質に応じた主権者教育の取組の工夫と、相互の関連を図った教科等横断的なカリキュラムの開発」などを提言している。

 このほか、「家庭・地域における主権者教育の充実」ではPTAなどとの連携、「主権者教育の充実に向けたメディアリテラシーの育成」では新聞を教材として活用するNIE推進などを提言。学校関係者のみならず社会総がかりでの国民運動として、主権者教育推進の取組みを展開する重要性を指摘している。

 最終報告に向け、主権者教育推進会議として残された検討課題には、「大学段階における主権者教育の在り方」「教員の養成、研修の在り方」「教育現場における政治的中立性の担保の方策」などをあげている。
《奥山直美》

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