総務省は2020年7月17日、「2019年度青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」を公表した。高校生の正答率は、過去4年間の平均とほぼ同等の68.7%。フィルタリングを利用している高校生、家庭にSNS利用のルールがある高校生のほうが、正答率が高かった。 総務省は、インターネット上の危険・脅威に対応するための能力や現状などを可視化するテスト「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標(ILAS)」を2011年度に開発。2012年度より毎年、高校1年生を対象にILASとアンケート調査を行っている。2019年度は57校7,252人を対象に実施し、ILASとアンケート調査の結果を集計・分析して公表した。 ILASの全体の正答率は68.7%。前年度(2018年度)の69.6%より低下したものの、過去4年間の平均68.8%とほぼ同等の結果となった。男女別の正答率では、例年の傾向と同様に女子が高く、男子66.1%に対し、女子71.3%だった。学校の所在地別では、政令市(特別区を含む)の正答率が70.7%と高かった。 項目別の正答率を4年前と比較すると、ID・パスワードやウイルス対策などの「セキュリティリスク」が65.3%から66.8%へ相対的に上昇。歩きスマホやマナーなどの「不適切利用リスク」が82.4%から78.9%、不適切投稿や炎上などの「有害情報リスク」が68.2%から66.0%へと相対的に下降した。 インターネット接続機器としてスマートフォンを保有している高校生は97.5%。もっともよく利用するインターネット機器として、92.5%がスマートフォンをあげている。 スマートフォンの平日1日あたりの平均利用時間は、「2~3時間」が25.1%と最多。全体の79.2%が2時間以上利用しており、前年度の69.2%からさらに長時間化の傾向にある。スマートフォンの利用時間別の正答率では、平均利用時間1時間未満がもっとも高く、利用時間が長いほど正答率が低下する傾向もみられた。 フィルタリングについては、高校生の74.7%が「よく知っている」「多少知っている」と回答。フィルタリングの認知度は、前年度の69.2%から5.5ポイント増加した。フィルタリングの利用率は、フィルタリングを認知している高校生45.2%に対し、フィルタリングをあまり知らない高校生は20.1%と低かった。 フィルタリングのイメージは、高校生の74.7%が「有害なサイトやアプリの閲覧を制限し、安心にインターネットを使うことを可能にしてくれるもの」と肯定的な一方、10.2%は「使いたいサイトやアプリを利用できなくする邪魔なもの」と否定的に捉えていた。フィルタリング利用率は、肯定的に捉えている高校生45.6%に対し、否定的に捉えている高校生は33.6%と低く、フィルタリングに肯定的なイメージも否定的なイメージももっていない高校生は18.1%とさらに低かった。 また、フィルタリング利用率は、SNSなどの利用について家庭や学校でルールがある高校生のほうが、ルールがない高校生に比べて高い傾向にあった。フィルタリング利用率は、家庭でルールが「ある」は53.7%、「ない」は30.5%、学校でルールが「ある」は42.8%、「ない」は37.6%であった。 さらにフィルタリング利用や家庭のルールとILASの結果をクロス集計したところ、正答率は「フィルタリングを利用している」71.0%、「フィルタリングを利用していない」68.4%、「家庭でルールがある」70.6%、「家庭でルールがない」68.0%と、フィルタリングを利用している高校生や家庭でルールがある高校生のほうが高い傾向にあった。