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高校教育改革へ、タスクフォース設置…文科相11/4会見

 文部科学省の松本大臣は2025年11月5日の会見で、高校から大学院まで一気通貫した人材育成の課題を議論する場としてタスクフォースを設置すると発表した。年度内の策定を目指す「高校教育改革に関するグランドデザイン」も含めて議論し、教育改革を成長戦略の柱として進める。

教育行政 文部科学省
松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年11月4日)
  • 松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年11月4日)

 文部科学省の松本大臣は2025年11月5日の会見で、高校から大学院まで一気通貫した人材育成の課題を議論する場としてタスクフォースを設置すると発表した。年度内の策定を目指す「高校教育改革に関するグランドデザイン」も含めて議論し、教育改革を成長戦略の柱として進める。

 松本大臣は、2025年10月の与党政策責任者会議で「高等学校等就学支援金制度」の見直しと高校教育改革をあわせて推し進める合意がなされた状況を踏まえ、タスクフォースの設置を決定したと説明。「関係省庁とも連携をしつつ、また与党の意見も聞きながら強い経済の実現の基盤となる人材育成方策について取りまとめていく」と述べた。

 同省が2025年度内の策定を目指している公立高校の改革「高校教育改革に関するグランドデザイン(仮称)」については、「高校教育改革および高校教育の質の向上につながるよう、タスクフォースの中でも議論をする」とし、さまざまな関係者の意見を聞きながら検討を進める考えを示した。

 会見では、高校無償化による影響について記者から質問があがった。特に、公立高校や中山間地域の学校において、私立高校との格差が広がるのではないかという懸念に対し、松本大臣は「だからこそ、公立高校や専門高校などへの支援の拡充をあわせて行っていくことが極めて大事だ」と強調。3党合意でもその点が共有されているとし、「無償化にあわせて、そうした質の改善、高めていくような取組み」を国としての方針に盛り込むと述べた。そのうえで、各都道府県が地域の実情を踏まえた計画を策定できるよう、自治体と相談しながらきめ細かい政策の実現に取り組むとした。

 高校無償化や給食無償化の実現に必要となる財源について問われると、3党の検討チームの合意文書に「税制による対応も含め恒久財源を確保することが不可欠であり、3党で責任をもって対応する」と記載されていることに言及。具体的な規模については「一層精査したうえで、財源確保できるよう、取組みを進めてまいりたい」と述べ、明言を避けた。

 また、2026年度から段階的に導入される公立中学校における35人学級制にともなう教室不足の懸念について問われると、2026年4月の1年生からの導入に必要な施設整備費は、2026年度概算要求に計上済みであると説明。さらに、2027年度以降の導入拡大に向け、教室確保の状況について全国的な調査を実施中であることを明らかにした。調査は10月10日を提出期限として各都道府県教育委員会に依頼しており、現在結果をとりまとめている段階だという。

 会見の冒頭では、ユネスコ創造都市ネットワークの新規加盟都市として、福井県越前市が「クラフト&フォークアート」分野で認定されたことが報告された。これにより、日本の加盟都市は計12都市となった。松本大臣は「誠に喜ばしいことであり、地元関係者の皆様方のご努力に心から敬意を表する」と祝意を述べ、文部科学省としても情報発信の強化などを通じて協力していく姿勢を示した。

《川端珠紀》

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