学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第248回のテーマは「ICT支援員を増やしてICT教育を充実させてほしい」。
1人1台端末が実現
デジタル教科書が従来の紙の教科書と同等の扱いとなることが文部科学省の審議会で了承されました。2030年度を目処にデジタル教科書も正式な教科書として教育現場に導入されることとなります。コロナ禍以降、学校におけるデジタルに関する取組みは、非常に早いペースで進んでいます。GIGAスクール構想により「1人1台端末」が実現し、学びの形が大きく変わりつつあります。新しい学習指導要領も、GIGA端末を前提としたものとなってきます。
そういった中で少し難しい問題も発生しています。たとえば、使い方に関しては、SNSでのいじめ、不適切な動画の視聴などです。これはGIGA端末だけの問題ではなく、私物のスマホやタブレット、PCを用いて、ネットに関係する多くのことに関連したことです。
また、ハードに関しては、GIGA端末の管理などに関するものです。これから数年かけて、GIGA端末の機材の更新が行われます。そういった際の対応は非常に煩雑です。多くの学校でICTが得意な教職員が担当しています。現在の学校は非常に忙しい組織だと言われています。そういった組織にあって、ICTに関連して、さらにいくつもの仕事が増えてくる状況は、学校をさらに難しいものとしてしまいます。
教職員以外の人が関わる組織へ
そういった状況を踏まえ、学校にICTに関わる人材を増やしていくことが望まれます。もっとも望ましい形は、国や自治体にがきちんと予算を確保し、ICTに関わる専門的な人材を確保していくということです。すでにそういったことに取り組まれている自治体もありますが、多くの自治体では充分ではありません。子供への指導に関する役割、ハードの管理などに関する役割などになります。一般企業では、パソコンなどを数百台も抱えている場合、保守管理の専門職員がいることが一般的です。GIGA端末が導入されている学校においても、本来は管理に関する専門職員がいても良いはずです。それなのに、現在はICTが得意な教職員に対応させていることが多いのが実情です。そういった教職員もICT以外に本来の業務があり、かなり厳しい中で対応していることが想像されます。現在、GIGA端末の更新が行われています。そういった際に、こういった専門職員などの予算も同時に考えていくことが持続可能な組織であるために必要なのではと思います。
また、少し違う取組みとしては、地域の方などにボランティアとして関わってもらうことも良いでしょう。ICTに詳しい方であれば良いですし、そうでなくともできるようなこともあります。学校はもっと教職員以外の多くの人が関わっていく組織になっていくと良いと私は考えています。今回のテーマであるICTもそうですし、それ以外の分野に関しても同様です。学校が開かれたものになっていくことで、現在課題とされているもののうちのいくつかは解決できるものもあります。「開かれた学校」というフレーズを以前から使っているところがあります。多くの課題を抱えている現在の学校だからこそ、「開かれた学校」が求められているのではと思います。
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