文部科学省「学びの充実など教育課題の解決に向けた教育分野特化の生成AIの実証研究事業」に係る実証事業者公募において、コニカミノルタジャパン、富士通Japan、東京書籍など5社が決定した。
生成AIは、多言語対応が必要な外国にルーツをもつ子供・保護者への対応や、ひとりひとりにあった個別最適な学習コンテンツの生成・提供などの可能性を秘めている。一方で、汎用基盤モデルのみでは十分な実証ができず、教育分野に特化させるための参照データの整備やモデルのチューニング、現場での実装のあり方など、多角的な検討が必要とされている。
同実証事業では、多様な子供たちの状況に対応し、個別最適かつ協働的な学びを実現するために、生成AIの活用可能性を整理・検証。教育分野に特化したモデルやサービスの開発を通じて課題解決の可能性を検証する。文部科学省は、事業事務局を「デロイト トーマツ コンサルティング」に委託し、6月に実証事業者の公募を行った。
募集は3テーマに分けて実施。公募の結果、実証事業者は「(テーマi)個別最適・協働的な学びの深化の実現」が、TBSホールディングスとコニカミノルタジャパンの2社、「(テーマii )誰ひとり取り残されない教育の実現」が、Polaris.AIと富士通Japanの2社、「(テーマiii )データ利活用の促進」が東京書籍に決定した。
このうち、東京書籍は「教科書データ活用基盤の構築による学習サービスの品質向上の実現」をテーマに実証研究を実施する。教科書という公的かつ信頼性の高い教育コンテンツを、生成AIが理解し活用できる形に整え、AI時代に対応した構造へと再構築するとともに、幅広いAIサービスが連携できる接続基盤を整備する。これにより、さまざまなAIサービスが教科書とつながり、信頼性の高い学習情報を活用できる環境の実現を目指す。実証研究は、立命館大学附属守山中学校をフィールドに、中学校の社会、数学、理科、英語の4教科を対象に行う予定としている。