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大学の再編・統合を促進へ…中教審に諮問、文科省

 文部科学省の盛山正仁大臣は2023年9月25日、高等教育のあり方について、中央教育審議会に諮問した。大学入学者数の減少を踏まえた大学の再編・統合の促進など、高等教育へのアクセスを確保するための抜本的な構造改革のあり方について検討を促している。

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急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(諮問)概要
  • 急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(諮問)概要

 文部科学省の盛山正仁大臣は2023年9月25日、急激な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育のあり方について、中央教育審議会に諮問した。大学入学者数の減少を踏まえた大学の再編・統合の促進など、高等教育へのアクセスを確保するための抜本的な構造改革のあり方について検討を促している。

 少子化の進行を受け、国内の高等教育機関への進学者数は、18歳人口がピークを迎えた1966年の約249万人から、2022年は約112万人へ半分に割り込んでいる。文部科学省では、今後の大学進学率の伸びを加味しても、大学入学者数は2040年に約51万人、2050年までの10年間は50万人前後で推移すると推計している。

 諮問では「高等教育機関の機能強化等の観点からも、設置者の枠を超えた、高等教育機関間の連携、再編・統合の議論は避けることができない状況にある」と指摘。地域によって高等教育機関への進学率や進学者収容力が異なるとともに、地方の私立大学ほど学生数が減って厳しい経営状況に陥る傾向にある状況などを踏まえ、今後の高等教育全体の適正な規模も視野に入れながら、地域に質の高い高等教育へのアクセスを確保するための抜本的な構造改革のあり方の検討を求めている。

 具体的には、既存の学部・学科などの構成や教育課程の見直し、高等教育機関間の連携の強化、再編・統合などの促進、教育や経営に関する情報の公表をあげている。

 また、高等教育全体の目指すべき姿の議論においては、設置者・機関別の観点も必要だとし、国公私立の役割分担を明確化。期待される役割には、国立大学は「世界最高水準の教育研究の先導や学問分野の継承・発展」、公立大学は「地域活性化の推進や行政課題の解決への貢献」、私立大学は「高等教育の中核基盤として、専門人材の輩出や多様性確保」などと記している。

 このほか、2040年以降の社会を見据えた高等教育が目指す姿のための具体的方策、高等教育の改革を支える支援方策のあり方などについても検討するよう求めている。

《奥山直美》

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