全国知事会は2025年8月6日、文部科学省を訪れ、教師を取り巻く環境整備の推進や、高校無償化による公立校への支援強化、教員確保に関する対応といった文教関係などについての要請を行った。高校無償化にともなう動きについては、2026年度入試が動き出す時期を前に、早急な方針と対応を求めている。
今回、全国知事会の文教・スポーツ常任委員会委員長 大村秀章愛知県知事が、武部新文部科学副大臣に「教師を取り巻く環境整備に関する方策の推進について」「地方創生・日本創造に向けた人づくりを担う高校や大学等の機能強化・振興について」および「令和8年度国の施策並びに予算に関する提案・要望(文教関係)」についての要請活動を行った。
教師を取り巻く環境整備については、教員の働き方改革を一層進めるため、必要な施策と財政措置の確保、教職調整額の10%への確実で計画的な引き上げ、2026年度からの中学校35人学級実施に向けた法改正と定数措置の実現を求めた。また、教職員を志す学生が増えるよう、免許取得のための単位数の見直しや免許制度の改革、教職課程の改革を通じた資質向上、部活動の地域展開の推進に向けた人材確保や支援体制の整備など、教育現場全体の環境改善を提案した。
高校や大学等の機能強化・振興については、地方創生と日本創造を担う人材育成のため、高校DX加速化推進事業の継続・拡充や、専門・普通高校の魅力向上、老朽化対策への財政支援を求めた。また、大学等との連携や外部人材の活用による理数・デジタル教育の充実、地域構想推進プラットフォームの国主導による展開、大学の共創拠点化や防災機能の強化など、多面的な支援の推進を提案した。
文教関係では、中学校35人学級の実現や、小学校の教科担任制、産・育休代替教師の安定した確保など、教師数の安定確保の必要性が高まっていることから、教師不足解消に向けて加配定数の振替に頼らず加配要件や対象校種・職種を拡大することを求めた。
また、いわゆる「高校無償化」について、私立高校が多い地域の近隣府県ほど影響は大きくなり、都市部と地方の地域間格差をさらに深刻化させる可能性があることから、新たな交付金等による財政支援制度を創設するなど、国として公立高校への支援の抜本的な拡充を図るよう要請。公立高校の魅力向上のために、老朽化した施設・設備の更新や修繕、空調をはじめとする教育環境の改善などへの財政支援をより一層充実するとともに、教職員の配置を含む指導体制の充実を図るよう、2026年度入試の本格的な始まりを前に具体的な方針を求めた。