2025年5月13日、あべ俊子文部科学大臣が記者会見を行い、公立学校教職員への過剰な苦情や不当な要求への対応策、いじめ予防に向けた方策、教員の持ち帰り業務の把握手法、部活動内のいじめへの対応と部活動の地域展開について説明した。
東京都教育委員会の調査によれば、都内の公立学校教職員の約2割が保護者などからのカスタマーハラスメントを経験していることが明らかになった。これに対し、あべ大臣は、教職員を支援する体制の構築が必要であると述べ、文部科学省としては教育委員会が保護者からの相談を受け付ける体制や、学校関係者が専門家に相談できる支援体制の構築に向けたモデル事業を実施していると説明した。
いじめ予防に関しては、筑波大学附属小学校でのいじめ事案を受け、文部科学省は各学校に対し組織的な対応を促進している。あべ大臣は、いじめの未然防止が重要であるとし、道徳教育や人権教育の充実を図るため、いじめ防止対策協議会での議論を踏まえ、いじめの未然防止教育のモデル事業を進めると述べた。
教員の持ち帰り業務については、文部科学省は持ち帰り業務を行わないことを原則としており、校長や教育委員会がその実態を把握するよう指導している。あべ大臣は、ICTを活用した勤務時間の把握を進めることで、教員の負担を軽減する方策を検討していると述べた。
部活動内のいじめについては、大阪市内の中学校での事案を受け、文部科学省は学校組織としていじめを早期発見・対応できる体制の構築が必要であると強調した。また、部活動の地域展開においても、いじめの発見と対応が適切に行われることが重要であるとし、部活動改革に関する有識者会議での議論を踏まえ、生徒の安全を確保しながら地域展開を進める方針を示した。