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教員性暴力防止法データベース活用状況と平和教育の課題に言及…文科相8/8会見

 文部科学省のあべ俊子大臣は2025年8月8日、記者会見を行い、教員性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況調査や平和教育の課題など、教育現場における重要課題について言及した。

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あべ俊子文部科学大臣記者会見(2025年8月8日)
  • あべ俊子文部科学大臣記者会見(2025年8月8日)

 文部科学省のあべ俊子大臣は2025年8月8日、記者会見を行い、JAXA種子島宇宙センターの視察や、教員性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況調査、平和教育の課題など、教育現場における重要課題について言及した。

 あべ俊子大臣は、教員性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況について調査を行っていることを明らかにした。同データベースは教員による性暴力等の防止を目的として構築されたもので、その活用実態を把握することで制度の実効性を高めることを目指している。「教員による性暴力等は決して許されるものではない。しかしながら、教員採用にあたってデータベースへのユーザー登録や適切な活用ができていない事例が確認された。今回の事案を重く受け止め、全国の国公私立学校でのユーザー登録の徹底を周知するとともに、適切に活用されているかの調査を発出した」と述べた。調査結果については9月下旬をめどに回答を得たのち、年内をめどに公表される見込みだ。

 JAXA種子島宇宙センターの視察については、「宇宙開発は我が国の科学技術政策の重要な柱であり、宇宙開発利用、宇宙産業の育成を積極的に推進していく」との考えを示した。

 会見では、記者からいわゆる東京「君が代」裁判5次訴訟の判決に関連しての質問があり、「判決内容は司法の場で判断されたものであり、文部科学省としてのコメントは差し控える」とした。

 また、終戦の日に合わせた平和教育の展開における課題についても質問があがった。あべ俊子大臣は「二度と悲惨な戦争を繰り返さないようにするため、改めて、戦争が未曽有の惨禍をもたらしたことを理解してもらい、平和で民主的な社会の実現と、国際協調・国際平和の実現に努めることの重要性をしっかりと教えていくことが重要であると考えている」としたうえで、戦争体験者の減少と高齢化が進む中において「戦争体験者の声を盛り込んだデジタル教材を活用するなど、持続可能な形で、平和教育の充実を進めていく必要がある」と強調した。

 広陵高校野球部の暴力事件に関しては、「大変遺憾に思っている。暴力行為は決して許されない行為」としたうえで、部活動を含め、学校活動を通じ、人の痛みを想像し他者への思いやりや助け合いの心を育むことが重要であると指摘。「広陵高校には被害生徒へのケアと、暴力行為に及んだ生徒への指導など適切に対応してもらい、再発防止に向けて取り組んでもらいたい。なお、特に匿名性の高いSNS等では発言がエスカレートし、ややもすると誹謗中傷として新たな人権侵害を生むことにつながってしまう。ぜひ、冷静な対応をお願いしたい」と述べた。

《中野坂理恵》

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